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FASHION 干場の「エコラグ」

紳士のアクセはこれしか許されない? シグネットリングの起源とは

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エコラグ-Hoshipedia 「エコラグ」とは、エコノミック・ラグジュアリーの略。economic luxury。極めて経済的だが、上質さやエレガンスは失わないスタイルの意味。「多くの粗悪なものより少しの良い物を」という干場の哲学により生まれた造語。腕時計や靴・鞄、スーツのように長い年月使えるものは高額でも、白シャツや白無地のTシャツのように常に白いまま清潔に着たい消耗品は、高額なものよりもコストパフォーマンスを重視するというスタイル。パテック・フィリップの腕時計やジョン・ロブの靴と、カミチャニスタやデッコーロの白シャツ、GAPの白無地のTシャツは干場にとっては同じ。一点豪華主義とも違う。干場が敬愛するブルース・リー先生が提唱した無駄を排した最短の動き(エコノミック モーション)で相手を倒すジークンドーのように、経済的で盛り過ぎない、かつ無駄のないシンプルで上質なスタイルを指す。

最近、正統派の英国スタイルに注目しています!

去年の暮れ、高島屋大阪店で開催した「Asprey(アスプレイ)」のイベントでトークショー&スタイリングアドバイスを行ったのですが、これは事前リサーチのためにサンモトヤマ銀座本店を訪れた際にオーダーした18Kのシグネットリング(印章・紋章付きの指輪)です。サンモトヤマ銀座本店は、銀座・並木通り6丁目の東京銀座朝日ビルディング(旧・東京朝日ビルディング)の完成に伴い、オープンした新店舗。1階がAsprey中心の品揃えになっているんです。

実は、僕も名前は知っていても、それまでどんなブランドなのかはよくわかっていませんでした。同じく英国王室御用達の「スマイソン」のような位置付けかなという認識だったのですが……。ところがどっこい、よくよく話を聞いてみると、これはその格式からして英国においてはエルメス級の存在感です。創業は1781年。当時の広告文には“最高のデザインと品質で装身具から携行品まで。そして違いのわかる洗練された方々の食卓と住居を、美しく演出するために”とあります。

英国では、サヴィルロウで上等なスーツを仕立て、ジャーミン・ストリートでシャツを誂え、ニュー・ボンド・ストリートで小物を揃えるのが紳士の嗜みといわれていますが、そのニュー・ボンド・ストリートに旗艦店を構えるのがアスプレイ。工房を併設し、ここで銀細工師、金細工師、宝飾職人、革職人、刻版師、時計職人などがデザイナーたちと一緒に仕事をしているんです。

話を戻すと、来日していた本国のスタッフいわく、小指にはめるシグネットリングは「結婚指輪さえしない英国紳士たちが、唯一しても許されるアクセサリー」なんだとか……。男の宝飾品のなかでも、もっとも古い歴史をもつそうです。もともとヨーロッパの貴族が各々の印章や紋章をリング上部に彫刻したしたのが最初だといわれています。また、署名に先立つ身分証明の道具でもあり、古代ローマ時代には使われていました。シグネットリングをはめる権利は、特権階級にだけ与えられていたことから、富裕であることの証明でもあったのです。封蝋のために用いられることもあり、この紋章や印章を押し付けて、“この手紙は間違いなく自分が書いて、封をしたもの“だと示す役割もあったそうです。そんな話を聞いたら、間違いなくオーダーしたくなっちゃいますよね。

で、自分のイニシャルの「YH」を刻印したいと思い、その場でこんな感じにと紙に書いたら、1週間後には本国から素敵な字体にアレンジしたデザイン見本が届きました。「YH」は小文字で書くと、「yh」となるから、上から見ても、下から見てもOK。うっかり、逆から指輪をはめても大丈夫なのです。さらに、最初、中央のテーブル状の部分を円形にしようと思っていましたが、四角形のほうがバランスがいいというアドバイスもいただき変更しました。オーダーから納品までは約3カ月。で、実際にはめてみたらエングレービング(彫刻の技法)も美しいし、小指にはめたときのボリュームや肌へのなじみもすごくいい。本当、さすがですよね。以来、スーツのときは肌身離さず着けているのです。

ちなみに、ヴィクトリア時代の男たちが蛇蝎のごとく忌み嫌ったもの。それは"軽薄さ"と"気まぐれ"だったそうです。れっきとした男性は、できるだけ控えめな、実用性ある宝飾品以外は、決して身に着けない、という当時の思想はいまなお受け継がれていて、それが英国紳士のアンダーステイトメント(控え目で抑制が効いている)につながっているのでしょうね。

Photo:Ikuo Kubota(owl)
Text:FORZA STYLE

エコラグ-Hoshipedia
「エコラグ」とは、エコノミック・ラグジュアリーの略。economic luxury。極めて経済的だが、上質さやエレガンスは失わないスタイルの意味。「多くの粗悪なものより少しの良い物を」という干場の哲学により生まれた造語。腕時計や靴・鞄、スーツのように長い年月使えるものは高額でも、白シャツや白無地のTシャツのように常に白いまま清潔に着たい消耗品は、高額なものよりもコストパフォーマンスを重視するというスタイル。パテック・フィリップの腕時計やジョン・ロブの靴と、カミチャニスタやデッコーロの白シャツ、GAPの白無地のTシャツは干場にとっては同じ。一点豪華主義とも違う。干場が敬愛するブルース・リー先生が提唱した無駄を排した最短の動き(エコノミック モーション)で相手を倒すジークンドーのように、経済的で盛り過ぎない、かつ無駄のないシンプルで上質なスタイルを指す。



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