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FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
LIFESTYLE ユキサイクロペディア2020

鮨も洋服もクラシック一本!
赤峰流、鮨の喰らい方とは?

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「ドクトル赤峰のファッション哲学とスタイルはよく分かったが、ドクトルを形成している“栄養分”を知りたい」――という声に応えて、赤峰幸生の衣食住に迫る連載をスタート。

記念すべき第一回に訪ねる店は、「自分が三十数年間通う寿司屋がいいねぇ」と即答。ドクトルを師と仰ぐ書生と連れだって向かったのは、「人形町に㐂寿司(きずし)あり」と言われる名店!

→前編はこちら

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季節の鮨ダネが書かれた木札の色が一枚一枚違う理由

明治座の近く、江戸前鮨の名店「㐂寿司」の暖簾を守るのは四代目の油井一浩さん。弟の厚二さんと職人の山岸利光さんもつけ場に立つ。昔ながらのガラス製のネタケースの中を見て注文するも良し、つけ台の正面にある鮨ダネが書かれた木札を見て頼むのも良し。

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四代目の油井一浩さんの弟の厚二さんの後ろにあるのが鮨ネタの木札

赤峰さんの会社・インコントロに入社した23歳の田代一輝さんが、つけ場にいる厚二さんに、「どうして木札の色が一枚一枚違うんですか?」と尋ねると、「ネタは毎日20から30は揃えていますが、“さより”や“はしら”のようなきれいな板は旬が短いという証拠。年中あるネタは色が焼けています。旬になると表にするんですよ」とのこと。

旬のネタは 2ヵ月ぐらいで変化しますが、「温暖化などの影響で、昔に比べると旬がズレていますね」と言います。

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つけ場に立つ「㐂寿司」四代目の油井一浩さん

ドクトルがいまだに覚えている、“ハマチ”の話

赤峰 30年ぐらい前に、若い子を寿司屋に連れて行ったら、最初に「ハマチをください」というから、自分が恥をかいてしまって……。

田代 え!? ハマチを頼んじゃダメなんですか。

赤峰 どうしてダメだと思う? 江戸前は「ハマチは養殖だから」。そういうのを頼むと、いつもどういうところで鮨を食べているかお里が知れる。

田代 なるほど。勉強になります。㐂寿司さんでは頼む順番ってあるんですか。

山岸 順番は特にないですよ。でもお任せだと、まず白身やマグロ、貝類、〆たもの、煮たものの順でお出ししますね。でもお好きなモノを食べてください。

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お雛さま時期のネタといえば、煮ハマグリ。噛めば噛むほど旨味が口の中に広がっていきます

田代 お寿司は好きですが、今日は本物の鮨で、感動しています。肉の厚みや脂の乗り具合など、これが江戸前鮨の“仕事”なんですね。

油井厚二 うちのお客さんだと、「パーティーの帰りに1~2貫だけ食べたい」と来て、スッと帰る方もいます。

赤峰 それが、「自分の胃袋と相談しながら、美味しいモノをいただく」という本来のお寿司だよね。

山岸 「小腹に入れる」感じですね。

赤峰 そうそう、鮨はファーストフードの走りですよ。

油井 江戸時代には橋のたもとに寿司屋があって、人足さんがつまんで仕事へ行くものでした。

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見るからに、「春、到来」というのを感じさせてくれる白魚。㐂寿司の白魚は、中に芝海老のおぼろがかませてあり、口の中で上品に合わさる

これからは、セルフプロデュースの時代になっていく

――田代さんはなぜインコントロに入ろうと思ったんですか。

田代 2月まで百貨店で販売をしていたんですが、「自分の動き方を変えないとマズいな」と思ったんです。百貨店は資産も歴史もあるのに、お客さんを待っているだけで、今のご時世なのに、自分から取りに行かない。毎日、危機感を感じていました。

赤峰 世の中の小売業で一番大事なことは、来てくださる方々の「暮らしの役に立つ」ために店の存在があるということ。たとえば寿司屋なら、ネタが重要なんだけど、それ以上に重要なのが「見えない空気」。鮨と同時に空気もいただいているんだね。だから、良い空気が流れている店は繁盛するし、お客さんも肌で分かる。

田代 確かに、今のコロナウイルスのせいにして、「お客さんが来ないのはしょうがないよ」と売る方が感じていたら、そういう風潮の中でも買い物に来てくれた方に伝わりますよね。

赤峰 もう大量生産、大量消費の時代でもないから、最終的にはセルフプロデュースですよ。自分が全部プロデュースして、お客さまの役に立つ時代になってきている。

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赤酢を用いた酢飯と車海老の間に、おぼろをかすかに挟んである海老。姿カタチが風味絶佳

昨今のコロナウイルス騒動から見えてくるものとは

赤峰 アメリカの進化生物学者のジャレド・ダイアモンドの著書『銃・病原菌・鉄』に詳しいけど、地球上にはウイルスが限りなくたくさんあって人間と共存している。人間は無菌では生きられないからね。でも、今のコロナウイルスの対策を見ていると対応が近視眼的すぎるから、もっと引いてみて、物事を大きくとらえてもらいたいと思いますよ。

田代 確かにニュースは視聴者を煽りすぎていて、社会的にはデメリットが大きいかも知れません。

赤峰 社会全体を見た発言や施策がないから、みんな自分勝手なコロナへの意識になってしまっている。こういうのが一番危ないよ。

田代 赤峰さんとこういう話をしているのは楽しいですね。インコントロに入ったのは、「本物を知る」ということが、僕らの世代にはないなと思っていて、それを教えてくれるのが赤峰さんだと思ったから。「いつか赤峰さんのようになりたいな」と思って動画などを見ていました。

赤峰 そういうことを正面切って言われると照れるね。

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静岡で獲れたサバは、観音開きにして、馬の鞍に見立てた握り方「鞍掛」でいただきます

田代 本物と向き合っている赤峰さんのもとで知識を付けて、いつかは「赤峰さんを継承している」と言える一人前になれたらと思います。いろいろ学ばせてください。

――赤峰さん、今日の㐂寿司はいかがでしたか。

赤峰 いつも通り、何も変わっていない。白魚のように今じゃないと食べられない、季節のものをいただく喜びがありますよ。

田代 鮨もクラシックを継承しているものですね。勉強になりました!

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職人の山岸利光さんと油井厚二さん

 

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㐂寿司
東京都中央区日本橋人形町2-7-13
03-3666-1682
営業時間:11:45~14:30、17:00~21:30(土のみ17:00~21:00)
定休日:日曜、祝日
アクセス:東京メトロ「人形町駅」より約2分

 

= information =
ユキちゃんも脱帽&気絶!
『365日の服 献立 わたしの自力インスタ』三浦文子個展 開催

「沢村貞子さんの献立本に影響を受け、わたしは毎日の服でやってみようと描き始めました」というイラスト展が3月17日(火)から28日(土)まで開催。

『365日の服 献立 わたしの自力インスタ』というタイトルは、「自分自身の毎日の着こなし、淡々とした日常の中の服を描いているということで365日の服 献立。そして写真でないので『手描き』=『自力』のインスタです」と三浦文子さん。女子美術短期大学卒業後、アパレル会社に就職し、現在も販売の仕事をする傍ら毎日の着こなしを描き続けています。

『365日の服 献立 わたしの自力インスタ』
3月17日(火)~28日(土)
火曜から土曜8:00~20:00
※日曜日および月曜日は定休日
会場:森の酵母 パン・オ・スリール イベント・ギャラリースペース
東京都渋谷区渋谷1-4-6 1階
(渋谷駅から徒歩5分、表参道駅から徒歩9分)

Photo:Shimpei Suzuki
Text:Makoto Kajii



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