LIFESTYLE ― 誰がアパレルを殺すのか

SNS時代をリードする「インフルエンサー」とは何かを考える

2020.1.24 2020.1.24
2020.1.24

YouTuberを代表するヒカキンや はじめしゃちょーが地上波のコマーシャルに登場したり、新製品発表会やパーティーに招待するタレントをインスタグラムのフォロワー数で選んだり、世はまさに「インフルエンサー天下」だ。しかし、「インフルエンサーってなに?」と問われたとき、あなたは何と答えるだろうか。

ビジネスミーティングの場でも話題になるインフルエンサーについて、SNS上の独自の解析データを用いて、PR・マーケティングや各種コンサルティング業務を行っている塩原(しおはら)宣章さんにお話を伺った。

SNSの成功者は、“繋がりの戦術化”を熟知している

このSNS全盛期にインフルエンサーの“バズらせる力”はあらゆる業界が注目していて、たとえば「服が売れない」からインフルエンサーを活用してフォロワーにアピールしたり、「化粧品が売れている」ことはインフルエンサーの功績になったりしている。子供が将来なりたい職業でYouTuberが1位になる今、SNSの功罪や“繋がりの戦術化”を塩原さんに解説してもらった。

――まず、塩原さんの具体的な仕事を教えていただけますか。

塩原 肩書きでいうと「マーケティングPR」になります。世界中の人がSNSを利用して日々発信しているということは、一人ひとりがメディアを持っているということ。そのフォロワーは読者ともいえます。私たちはハッシュタグを付けて発信し、ハッシュタグで検索し、自分とマッチする発信者をフォローすることを当たり前のように行っています。自分の仕事は、そういう“人・モノ・コトのリレーション”の効果測定をして、価値観の打率を上げるサービスをしています。

――なるほど。しかしSNSの世界は変化が激しいものですよね。

塩原 そうですね。変化は激しいように見えますが、プラットフォームとしてのインスタグラムやFacebookは今も廃れていません。

――確かに。「それらのサービスのブームは終わる」と言われましたが、Twitterを含めてSNSは生活の中に浸透・定着しています。

塩原 ウェブマーケット上の消費行動はSNSに効果的に表れるので、意識的にコントロールができるし、データ化して活用することもできる、本当にエモーショナルなマーケティングです。インフルエンサーというと一般の人はフォロワーの数やいいね!の数ばかり気にしますが、SNSの成功者は、“人・モノ・コトのリレーション”を的確に見極めている戦略家ともいえます。


ノマドスタイルで仕事をしている塩原さんはコワーキングスペースを活用している
FORZA STYLEと干場編集長は、次に何を目指したらいいか?

――FORZA STYLEは動画配信に力を入れていますが、動画の可能性はまだまだありますか?

塩原 YouTuberがどうして人気があるかわかりますか? 手元にあるスマホで簡単に観られて、テレビではできないような面白いことをやっているからで、特に“疑似体験”をしているYouTuberは人気があります。

――やってみたいけどできない大食いとか、福袋の中身を開けたり、心霊スポットに行ったり、高価なブランドモノを買ったり、まさに疑似体験ですね。

塩原 FORZA STYLEでいうなら、「動画にプラスして何をするか」ですね。たとえば動画のテーマに合わせてオフ会を行うとか、干場さんの動画を見た後に、「何を得られるか」の戦略性は不可欠です。配信するコンテンツの内容も大事ですが、発信者が視聴者にどう寄り添って距離を縮められるか、動画を見た後に何を残せるかがカギになると思います。その残るものというのが、知識であったり擬似体験であったり。

――それは干場編集長が「降りてくる」という意味ですか。

塩原 「降りてくる」のではなく、「共有する」ということです。今のSNSはファンとの距離が大事で、たとえばインスタで旅行の様子をアップすると「私も行きたい!」「〇〇オススメです」というコメントがつきます。投稿を通して一緒に旅行している気分になる、つまりシンパシーを感じる。シンパシーを感じたフォロワーはその内容を友人や知人との話題にして、新たなフォロワー=ファンが増える、波及効果が生まれるわけです。

――実際、一緒に行っていなくても“疑似体験”しているということですね。

塩原 そうですね。それで場所やECに紐付けすれば、“一つの経済圏”が生まれるわけです。

――なるほど、いわゆるホスト役に徹するということですね。


インフルエンサーを特集した雑誌『Forbes JAPAN』11月号
「打席数が少なくても必ず打てる人」がインフルエンサーになれる!

――では、塩原さんがインフルエンサーですぐ思いつく人は誰ですか?

塩原 そう聞かれると、逆に「フォロワーは多い話題の人だけど影響力がない人」を思い浮かべてしまいます(笑)。そういう人のデータはたくさん持っています。

――それはどういうことですか?

塩原 たとえば、男性フォロワーが多い女性アイドルが化粧品の投稿をしても影響は及びづらいでしょう。逆に、特定の犬種、たとえば柴犬を飼っている人は、柴犬のコミュニティや柴犬用の服を売っているお店をフォローするので、フォロワーが1000人しかいなくても500人が服を買ってくれるような超高打率なコミュニティになっているわけです。

――そこで「打率を上げる」仕事が必要になってくるわけですね。

塩原 インフルエンサーの定義に正しい答えはありませんが、「その人が動くことによって何か活動が起きる」、「動く人数の比率が高い」とは言えます。野球で常時出場してたまにド派手なホームランを打つ人より、どんな形であれ必ず塁に出る方が価値が高いということですね。それを上手く調整するのがマーケティングPRで、フォロワー数やいいね!の数より、その後のエンゲージメント=繋がりをどう調整して考えていくかがポイントになります。SNSでの関係値は、「その人への信用度」で測れるとも言えますね。

「どこかに自分のフォロワーがいるはずだ」ではインフルエンサーは無理

――もう一つ、サラリーマンが「副業OK」の時代になってきて、「YouTuberにでもなろうかな」という人も増えると思います。相談をもちかけられたら、塩原さんはどう答えますか?

塩原 たしかに人気YouTuberは稼いでいる印象がありますよね。広告代理店からインフルエンサーの話を聞くと、「そんなに払っているんだ」という人もいます。今はYouTuberのほか、ニュースピッカーやnoteに書いている人など、テレビタレント並みの注目を集める人もいます。

――特にYouTuberは儲かっているニュースをよく見ます。

塩原 YouTuberは「テレビじゃできないことを明日できる」人たちです。でも、テレビは失敗してもストーリーになりますが、YouTuberは成功を求めるから、結果としてクオリティの高い人が集まってくる。YouTuberは一般人に限りなく近い有名人ですが、成功させる覚悟は必要と思います。

――「それでもYouTuberになりたい!」という人にアドバイスすると?

塩原 まず自分の友だちなど身近な人間が見てくれないと始まりません。友だちが見て面白いと思わないと、友だちの友だちは見てくれないですよね。マーケティングというのは、距離が近い人が協力してくれなければ 次はありません。ホームラン狙いで「どこかにファンがいるはずだ」は無理です。

――確かにそうですね。

塩原 YouTuberもインスタグラマーも数が増えると粗悪なモノが増えてきます。自分が向いているのか向いていないのかも含めて、「自分には“何”があるのか」を見つめるのも大事なことです。

Photo:Riki Kashiwabara

Text:Makoto Kajii

Author profile

梶井 誠
梶井 誠
Kajii Makoto

今はなき講談社のメンズファッション雑誌『Checkmate(チェックメイト)』編集部のファッション班を経てフリーランス。セレクトショップのカタログやメンズ雑誌のファッションページの取材・原稿を担当。SKE48箱推し、フィロのス・奥津マリリ推し、ジュビロ磐田サポーター。1961年福井県出身。

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