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逆気絶しないための【妻のトリセツ】§5. 妻語の翻訳付き! 便座モンダイで蜂の巣にならない、女性脳との会話の黄金ルールとは?

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 夫は無自覚に妻を傷つける。どうして女性脳は、悪気のない言葉にそれほど傷ついてしまうのか。また、男性脳の言葉は、どうしてそこまでひどい言葉として書き換えられてしまうのか。
 原因は、男性脳と女性脳では、会話に使う通信線の数が異なっているからだ。

 女性脳は、「心の通信線」と「事実の通信線」の2本を使って、会話をする。たとえば、友達の「事実」を否定しなければならないとき、女性は、まず「心」を肯定する。
「あなたの気持ち、よくわかる。私だって、きっと、同じ立場なら、同じことをしたと思う。でも、それは間違ってるよ」というように。

 男性脳は基本的に「事実の通信線」のみである。「それ、違ってる」といきなり結論を出す。悪気はないのだろうけれど、「心の通信線」を“わざと”断たれた、と女性は感じるのである。
「心の通信線」を断たれたと感じると、存在そのものを否定された気分になる。そのショックは、男性の想像をはるかに超えて大きい。逆に言えば、「心の通信線」に気づきさえすれば、深刻な男女のミゾは埋められるのである。
 事実を肯定するときも否定するときも、その前に、妻の心根は肯定してやる。これこそ、夫が知っておくべき「黄金のルール」である。

女性脳の会話は4パターンある

①心は肯定|事実も肯定
②心は肯定|事実は否定
③心は否定|事実は肯定
④心は否定|事実も否定

 女性脳同士の会話では、基本③と④は使わない。つまり、事実を肯定しようが否定しようが問題ないのだが、共感のために会話をする女性脳は、心=気持ちを否定したら会話が成り立たないだけでなく、人間関係が成り立たないのだ。
 妻はまた、「君を幸せにするよ」と誓った夫が、心を否定してくるとは夢にも思っていない。しかし、男性脳は、基本的に「事実」と「心」を使い分けることはしないので、それがひどく冷酷に感じられるのである。

 具体的な例を挙げて説明しよう。
 深夜零時近くに帰宅した夫に、妻が中学1年生の息子との間で起きた諍いについて話し出した。妻が言うには、息子の生活態度が目に余ったので叱った。しかし、あまりにも反抗的な態度だったので「出て行きなさい。帰ってこなくていい」と怒鳴ってしまった。息子は携帯も財布も持たずに自転車に乗って出て行き、夫が帰る少し前にようやく戻ってきた。12歳の息子に出て行けなんて言うべきじゃなかった。息子に何かあったらと、不安で胸がつぶれそうだったという。

 夫は、「君って、本当にそういうとこあるよな〜。でも男の子は叱ることも必要だよ。帰ってきたんだからよかったじゃないか」と答えたという。妻は、夫の言葉にますます打ちのめされてしまい、すっかり自信をなくしてしまった。
 このケース、夫は別に妻を責めてはいない。本人が言いすぎたというから、その通りだと同意しただけだし、叱ることも否定していない。さらに息子が無事帰ってきたことも喜んだ。いったいどこがいけないのか?

 夫が使ったパターンは③。心を否定して、事実は肯定している。「女性脳との会話の黄金ルール」その1は、絶対に心を否定しないことなのだ。
「あー、それは、胸が痛かったろうね。無事に帰ってきてよかった」と、妻を抱きしめるべきだった。ここまで動揺している妻に、正論を突きつける必要はない。
 最初の夫の言葉で言ってはいけなかったのが「君ってそういうところがある」の部分。今まで頑張ってきた子育てが、全否定された気分になるひとことだ。

「心」さえ肯定しておけば!

 心の通信線と事実の通信線を当たり前のように使いこなしている女性脳同士の会話を紹介しよう。
 ファミリーレストランに中年の女性3人が入ってきた。席に着くなり、一人が季節の限定メニューのマンゴーパフェを見つけた。

女性A「見て! 季節限定のマンゴーパフェだって。美味しそうじゃない?」
女性B「あら、ほんと! マンゴーって美味しいよね」
女性C「まったりしてて、アイスクリームとも相性いいし」
 ひとしきり旬のマンゴーの美味しさについて盛り上がったのち、Bが「でも、私、チョコね」とあっさり一抜け、Cも「私は白玉にしとくわ」と二抜けした。それでもAは特に機嫌をそこねるわけでもない。

 この状況、女性脳同士なら全然不思議でもなんでもない。最初にちゃんとAの心(気持ち)を肯定しているから、あとは何を頼むのも自由というわけだ。つまり、パターン②の「心は肯定|事実は否定」である。
 心さえ肯定しておけば、事実は、どっちに転んでも大丈夫。逆に言えば、無責任に「そうそう、そうだよな」と言っていいのである。この黄金ルールを覚えておけば、いらぬ地雷を踏まずに、自分の意見を通せるので絶対に楽になる。

 妻だけでなく、女性の部下にもこのルールは使える。特に、35歳以下の女性は心の通信線への依存度が高いから、職場でも同様な会話を求める。女性の部下が自発的に企画書を持ってきて、一読してダメだと思っても、いきなり「こんなのダメ」と事実だけで突き返してしまうのはNG。企画だけでなく、人格まで否定されたように感じてしまうからだ。
 この場合は、「いい着眼点だね」「お、これ、自分も気になってた」などと発案した気持ちを受けとめてやったうえで、「でも企画自体はまだまだだな。もうひと頑張りしてごらん」と返すべきなのだ。

一番絶望感が深いのは専業主婦

 働く妻は、心の通信線が繫がらない男社会で揉まれているので、夫と会話をしているときに心を否定されても、「男あるある」だと諦めもつく。
 しかし、専業主婦の場合、夫がすべてなので、心の通信線を認めない夫だと妻のストレスは半端ない。夫にわかってもらいたいと思えば思うほど、心の通信線を使うので、会話はますますかみ合わない。

 たとえば、何度言っても夫が便座を上げっぱなしにする場合。「便座が上がっていて、うっかり座ってしまった私のリスク(事実)」について説明すればすんなり通じるところを、「どうして何度言っても、上げっぱなしにするのよ! 私のことバカにしてるんでしょ!」と、心の通信線を使って、答えようのない疑問形で責め立てる。
 本来は、その無駄な努力を妻自身が知るべきなのだが、この本の読者は夫なので、夫がこのどちらにとっても不毛な会話を解決する方法を提案するしかない。でもそれは意外と簡単だ。それが「女性脳との会話の黄金ルール」その2、魔法の言葉「君の気持ちはわかる」を使うこと。

 もちろん、本当にはわからなくていい(だってわからないんだから)。夫は便座上げっぱなしについて「すごく嫌な気持ちにさせたんだね、ごめん。今度から気をつけるよ」と言えばいいのだ。妻はまず、自分の気持ちをわかってもらえれば、うっかりの上げっぱなしにも寛容になれるのだ。

 妻が理不尽なことを言って夫をなじるのは、心の通信線を開通させようとする切ない努力なのである。いくら「正しい事実」を言い聞かせても、永遠に妻は納得しない。

妻の言葉を「翻訳」すると……

 心の通信線を使った女性脳の言葉は、時として男性脳の予想を超えた意味を含んでいることがある。最後に、「心と裏腹な妻の言葉」を翻訳してみよう。

【あ行】
「あっち行って!」→ 《あなたのせいでめちゃめちゃ傷ついたの。ちゃんと謝って、慰めて!

【か行】
「勝手にすれば」→《勝手になんてしたら許さないよ。私の言うことをちゃんと聞いて》「好きにすれば」は同義語。

【さ行】
「自分でやるからいい」→《察してやってよ。察する気がないのは愛がないってことだね

【た行】
「どうしてそうなの?」→《理由なんて聞いていない。あなたの言動で、私は傷ついているの

【な行】
「なんでもない」→《私、怒ってるんですけど? 私、泣いてるんですけど? 放っておく気なの?

【は行】
「一人にして」→《この状況で本当に一人にしたら、絶対に許さない

【ま行】
「みんな私が悪いんだよね」→《えっ? それって私が悪いの? 私のせいなの? あなたのせいでしょ

【や行】
「やらなくていいよ」→《そんな嫌そうにやるならもう結構。私はあなたの何倍も家事してますけどね

【ら行】
「理屈じゃないの」→ 《正論はもうたくさん。「愛してるから、君の言う通りでいい」って言いなさい

【わ行】
「別れる」→《ここは引けないの。あなたから謝って!

 

 photos:gettyimages

18万部突破!妻のトリセツ』著・編:黒川伊保子 定価:本体800円(税別)/講談社+α新書



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