ハンバーガーメニューボタン
FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
LIFESTYLE

【連載】格闘家の入場曲【SAMURAI JOURNEY】
Round6
プロレスラー キラーカーン×『荒野の砂塵』

無料会員をしていただくと、
記事をクリップできます

新規会員登録

プロレスは、互いのリスペクトがあって初めて成立する

今回は、昭和プロレスの伝説、蒙古の怪人と呼ばれたキラーカーンさんを取材することに!

現在、キラーカーンさんは、歌舞伎町にて「歌謡居酒屋カンちゃん」というカラオケ居酒屋を営み、時には常連客と一緒に歌を唄い、アットホームな賑わいを見せている。

カーンさんは、現役当時から歌うことが好きで、CDを出すほどの腕前。辛い時などは歌を熱唱し、気分を晴らしてきた。入場曲『荒野の砂塵』は、「自分の選曲ではなかったけど、今でも当時を思い出すことが出来る、最高の曲」と話してくれた。

カーンさんは現役を退いて28年。それ以降、試合でリングを踏んでいない。ここに、カーンさんのプロレスへのリスペクトが感じられる。

「プロレスとは、相手の技を生かしてこそ、自分の技も生かすことができる。これが出来ないとプロレスは成立しない……」

リングに上がる際、「いかにお客さんに満足して帰ってもらえるか」を一番に考えていたという。当時、カーンさんは、先輩から、「お客さんが、今、何を求めているかを的確にキャッチし、日頃からトレーニングをしなければいけない」と徹底的に教えられた。

皆さんもご存知、人間山脈こと、「アンドレ・ザ・ジャイアント(223cm、236㎏)」と対峙した時のことを話してくれた。

「互いにリスペクトが存在し、その先にある、お客さんに満足してもらう、という共通認識が試合を成立させたんだ。アンドレは心のある、本当に素晴らしい男だった」

40歳になったカーンさんは、真っすぐなゆえに、諸問題にぶつかった。プロレスへの気力をなくし、その状況下でリングに上がることは、お客さんに対して失礼にあたると考えリングを去ったのだ。

平成元年2月、41歳の時、歌うことや、お客さんと話すことが好きなこともあり、「歌謡居酒屋カンちゃん」をオープン(昨年9月に歌舞伎町へ移転)。

このお店は、先日24回目の命日を迎えた、「尾崎豊」が常連だったことはファンの中では有名な話。ある時、尾崎が「カーンさん、お腹が減ったんだけど……」というと、カーンさんは、自家製カレーをふるまった。これが今も店で人気の「尾崎が愛したカレー」のルーツだ。

カーンさんのお店で出てくる料理は、どれも実に美味い。しかも絶妙なタイミングで料理が出てくる。おまけにカーンさんの歌も心に染み渡る。ここに、プロレスで培ったお客様目線が生き続けているのだ。現役時代、正直に戦ってきたカーンさんのお店だからこそ、常連客が心を寄せ、本気で歌い、本気で語らえる。

「板長!氷とハイサワー持ってきてー!!」

今日もカーンさんの元気な声が店に鳴り響く。美味い料理と、熱唱出来る店を持つことは、明日へ向かう糧となるのだ。

Photo,Text:Samurai Hiraoka

【取材場所】
住所:東京都新宿区歌舞伎町2丁目28−2 東松ビル 3F C
電話:03-5285-1115

【プロフィール】
サムライ平岡

格闘技と長渕剛をこよなく愛す昭和49年生まれ。
宮本武蔵の「万里一空」という言葉に感銘を受け、サムライ平岡と名乗っている。
出没場所:後楽園ホール。



RANKING

1
2
3
4
5
1
2
3
4
5