試合前日、遺書と保険証を自宅の机に置いた後と、 入場時以外はこの曲を聞かない
『FORZA STYLE』読者の皆さん。こんにちは、サムライ平岡です。
さて、突然ですが「武士道」と聞いて、皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか？ 礼節、信念、忠義。さまざまなイメージがあるかと思いますが…。そこで今回は、自分の心と正直に向き合い、大切な仲間のために信念を貫き通した格闘家「ＰＲＩＤＥグランプリ ウエルター級王者の三崎和雄」さんをご紹介します。
三崎さんは、幾多の苦境を乗り越え、自分が勝つことがすべての人への恩返しだと考え戦ってきた。何か大きな決断をする時のきっかけや、その気持ちを継続し続ける原動力はどのようなものなのか？ 総合格闘技という世界へ飛び込む決断をした時、また今も原動力になっている入場曲（音楽）がどんな役割だったのか？
三崎さんが20歳の時、同乗していた車が事故に遭い、大切な友がこの世を去った。途方に暮れる中、友の母親から「息子の分まで一生懸命生きて欲しい！」と声をかけられ、その言葉が総合格闘技の世界へ本格的に踏み出すきっかけになったのだ。
もともと柔道というバックボーンはあったが、総合格闘技の経験値はなかった。やるからには中途半端に出来ないと心に決め、すべての時間を練習に費やした。すべてをリング上でさらけ出し、恥も外見も関係なく、無我夢中で相手と対峙した。
試合のステージが大きくなるにつれて、プレッシャーが大きくなっていく。「なんで俺はこんなことをしているのか？」、「俺がやらねば誰がやる」。さまざまな葛藤を抱きながら試合当日を迎えていた。会場へ向かう車中、長渕剛さんの『Captain of the ship』を流し、「お前が行け！お前が舵を取れ！」という歌詞とともに、気持ちを高めていた。
それでも自宅から会場までの間に、50回以上のため息を吐き、控室でもまだ戦うことへの不安がぬぐえない状況にあった。それが一転、試合当日にスイッチが入る瞬間があったという。
気づくと周りに「本当の仲間」がいたのだ。バックステージにて入場曲『イントロダクション０１０』が流れる直前、ともに練習をし、サポートもしてくれたかけがえの無い「本当の仲間」一人一人とハグをし、その瞬間、すべての雑念が感謝に変わり、花道では幸せの境地に達していたという。
試合前日、遺書と保険証を自宅の机に置いた後と、入場時以外はこの曲を聞かない。気持ちが整理された瞬間、この曲がスイッチとなったのだ。この曲を聴くと、今でもカラダにインプットされているすべての細胞が目覚めるという。
三崎さんは格闘家であり、メッセンジャーでもある。戦いを通し、共感を呼び、見ている側の気持ちを代弁してくれる数少ないファイター。武士道という言葉は、いろいろな解釈はあるが、信念を貫き通す覚悟や怖さ、圧し掛かるプレッシャー、そのひとつひとつを繋ぎ、大きな円陣の中にいることへの感謝に変えていく。これが「三崎流武士道」だと私なりに解釈した。
現在、三崎さんは「HALEO代官山 SHOP&GYM」を運営するボディプラスインターナショナルの最高戦略責任者であり、武道家としても子供たちに武道の精神を伝え続けている。今後も「信念を貫いていく人間」をサポートすると共に、後進育成に力を注いでいくという。
日々の暮らしの中で、誰でもプレッシャーは常に付きまとうもの。『FORZA STYLE』読者の皆さんも、大きな決断が迫った時、さまざまな心の葛藤もあるかと思いますが、そんな時、「本当の仲間」が直ぐ傍にいることを再認識し、最終的にスイッチが入る１曲を持つ事で、さらに前に進めるはずだ。
Photo,Text:Samurai Hiraoka
【取材場所】
HALEO代官山 SHOP&GYM
渋谷区猿楽町24－１ ROOBⅡB1
TEL：03-6892-4800
crossfitdaikanyama.com
【商品お問合せ】
HALEO
TEL：0120-135-535
www.haleo.jp
【プロフィール】
サムライ平岡
格闘技と長渕剛をこよなく愛す昭和49年生まれ。
宮本武蔵の「万里一空」という言葉に感銘を受け、サムライ平岡と名乗っている。
出没場所：後楽園ホール。
