デジタル化が進むなか、それについていけない人が増えていることもまた事実だ。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。
「高齢者だけというわけでもないですよね。我々世代でも四苦八苦することはしょっちゅうです。セルフレジに、キャッシュレス決済、マイナカード、スマホもどんどん新しくなりますが、機能を使い切れているとは到底思えません」。
確かに。スマホのアイコンが動かせるなんて…と驚く50代の友人を目にしたことがある。
「デジタル化は時代の流れですし、新しいものに触れることで脳を活性化できる、ボケ防止などの効果もあるでしょう。ただ、日本の少子高齢化社会は進む一方です。デジタルネイティブではない世代が増えていくわけですから、問題は色々とありそうですよね」。
今回はデジタル化に思うことがあると話す、高齢者男性に話を聞いた。
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塚本肇さん(仮名・65)は、デジタル化の波に少々疲れ気味だと話す。
「キャッシュレス決済がかなり進みましたが、本音をいえば現金の方が楽だなと思うこともありますね。とはいえ、後輩などから色々と教えてもらって、飲み会などでもPayPayで割り勘などをすることも。初めのうちは操作に慣れず四苦八苦。恥ずかしい姿を見せることも少なくありません」。
それでも肇さんはなんとか、新しいものに慣れようとする気持ちがあるタイプだ。
「もっと上の世代は、まだまだ現金主義の人もすごく多いです。使い慣れているといえばそれまでですが、コンビニなどで小銭なんかを数えていれる姿を見ると心配になることも。後ろに並んだ人にイラつかれているみたいな状況もよく見るのでね。最低限は使える方が生きやすいんだろうなと思います」
とはいえ、管理が大変だと感じることも少なくない。
「PayPayに、クレジットカード、デビットカードなど、さまざまな支払い方法があるじゃないですか。それぞれポイントなども鑑みるとお店などによって使い分けた方がいいんでしょうけど、そこまではどうやったってできません。この間、息子にもPayPayやってるならPayPayカードだとポイントがなんちゃらと言われましたが、よくわからなかったからそのままにしています」。
そんななかでも肇さんが最も苦手だと話すのが、本人確認書類のアップロードだと話す。
「息子に勧められてスマホを既存キャリアから格安スマホに変更することにしたんです。別会社に変えたので、本人確認書類のアップロードが必要で。あれ自体、なんとなく信頼できないというか、ネット上にアップしてもいいのかな?と思ったりもするんですが、それをやらないと前に進めなくて。仕方なくアップロードしようとしたんですけど…」。
どうにもこうにもアップができなかったらしい。