ここ数年で一気に知名度をあげた炊飯器を使ったレシピ。2023年の「TikTokトレンド大賞グルメ&ヒットアイテム部門」にランクインしたことからも注目度の高さがうかがえる。しかし、これに対し炊飯器の人気メーカー・タイガー魔法瓶が注意喚起をしたという。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。
「炊飯器は本来、米を炊くためのものです。このため、調理機能付きの炊飯器でない限りは、調理は基本的にNGだそう。タイガー魔法瓶によると炊飯器は、通常白米を炊く場合、中の水分が蒸発するまで煮込むように設計されているそうで、米や水以外の材料だと蒸発スピードが早くなり、内釜が異常な温度になってしまうこともあるそう。これは危険ですね」。
さらによく見るポリ袋やラップを使った調理も危険性が高いそうだ。
「こちらは調理機能付きの炊飯器であっても同じ。圧力を調整する穴を塞いでしまう危険性があるそうです。そのほかにも油を大量に使う、とろみのある料理などもNG調理法として上がっています。実はこの話題の背景で専門家たちが危惧しているのは、きちんとした知識や技術を持たない料理研究家の増加です。料理研究家に免許は必要ありません。極論、自分で料理研究家と名乗れば誰でもなれる職業なのです」。
確かにここ数年で、料理研究家を名乗る人が増えたように感じる。
「もちろんきちんと勉強をして、プロとしての意識をもって発信をしている料理研究家がほとんどだと思います。しかし、すべてではないと理解して、レシピも参考にする方が良さそうですね」。
今回はそんな自称料理研究家に騙された主婦からお話を聞くことができた。
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郡山はなさん(仮名・46歳)は、子供の手が離れ、趣味に打ち込む時間が増えたと喜ぶ1人だ。
「高校生にもなるとまるで帰ってきません。あんなに大変だった頃が嘘のようです。今は手でなく、お金ばかりがかかります」。
部活に友達との映画、と週末、子供たちは家に寄り付かない。そこではなさんは何か新しいことを始めようと趣味を探し始めたそうだ。
「平日は仕事をしているので、土曜くらいは好きなことに使いたいなって。ヨガにピラティス、蕎麦打ち、英会話、いろいろ体験には行ったんですけど、どれもピンとこなくて…」。
そんななかで思い出したのは、過去の自分だったそう。
「小さい頃から料理とかお菓子作りが好きだったんです。だから大学時代のバイトは、カフェの調理場を選びました。当時はパスタとか作ってたんですよ。料理人に少し憧れた時代もあったなぁなんて思い出したら、急に料理がしたくなって。毎日料理は作っていますけど、それは日常。だからこそ、ちょっとハレの日の料理を学んでみようと思ったんです」。
はなさんは通えそうな範囲で料理教室を検索し始めたという。そんなときSNSで見つけたのが、家庭でできるフレンチと名を打った料理教室だった。
「そうそう!まさにこういうのが習いたかった!そんな気持ちでしたね。Instagramの更新も頻繁でおしゃれな感じ。教室が開かれているご自宅は、写真で見る限りまるでモデルハウスのよう。料理研究家を名乗る先生は私より若く、プロフィールには聞いたことのあるレストランの名前が並び、留学経験もありと書かれていました。それから通っている生徒さんのなかに、地元で知られるレストランのマダムの顔が!結局、それが1番の決め手でしたね」。
はなさんは、簡単にDMで申し込みができるところも気に入ったと話す。
「大手の料理教室とかだといろいろ記入しなきゃならなかったりするじゃないですか。でも最低限の個人情報だけで申し込みができること、Instagramで完結することもかなり大きなポイントでしたね」。
一応、クチコミも検索してみたが有益な情報はほとんどなかったそうだ。