洗面台の棚には100個は下らない100均コスメがすし詰めとなっているが、どれも使用されている感はない。引き出しを開けた時、おびただしい数のヘアアクセサリーが絡まり合いながら飛び出してきた時には、洋二郎さんは「狂気」すら覚えた。
「最初に妻が100均にハマったのが髪を縛るゴムだったようで、300個くらいはあると言っていました」
それだけでもざっと3万円である。しかし、妻が実際によく使っているのはネットのファッション雑貨店で買った3000円ほどのヘアアクセサリーなのだという。
洋二郎さんの妻は、ヘアアクセや収納グッズの他に100円ショップでどんなものを買っているのだろうか。
「とにかく最新の商品を買いたいみたいです。季節ものとかイベント絡みのグッズですよね。去年の冬は、凄まじい勢いでクリスマスアイテムを買っていました。あと限定品みたいなやつでしょうか。ダイソーオリジナルとか」
去年のクリスマスには、洋二郎さん宅の玄関やリビングのチェストの上などは格好の100均グッズ展示会場となった。何十点というアイテムでディスプレイされた場所を妻は嬉々として撮影し、何パターンもSNSやブログにアップしたそうだ。
「新製品は誰よりも早く買いたいって気持ちが強いようです。週に何回も行って意味あるのかと聞くと、『毎回発見があるし、なんやかんや新商品が入っている』と言い訳します。
厳しく言いたいんですが、すぐブーっとむくれて口きかなくなるから『あんまり買い過ぎないでよ』なんてつい優しく言ってしまっていて……」
妻があまりにも100均グッズを買うので、一体どのくらいの金額を使っているのか、ふと気になった洋二郎さん。
「ある日、たまたまゴミ箱でレシートが何枚も重ねて丸まっているのを見たんです。それを開いて調べてみたら、全部100均のレシートでした。その後調査を続けていくと、回収できただけでも、ひと月2万弱も使っていることが判って大変驚きましたね」
妻は食費を記録しているため、日頃買い物で受け取ったレシートをしばらく保管しているはずだが、100均のレシートだけはしばしば捨てられていることに洋二郎さんが気付いたのだ。
「そこからゴミ箱内のレシートチェックが習慣になってしまいました。世間にはドン引きされるかもしれませんが、僕は毎日ゴミ箱を調べて妻の100均レシートを集めているんです」
☆妻が月に2万円もの大金を100均で使っていることを知った洋二郎さん。そのレシートを分析した結果、妻の「100均狂」を裏づける証拠が明らかに……。後編へ続く☆
取材/文:中小林亜紀
PHOTO:Getty Images