多様性が叫ばれるようになって久しい。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。
「先日も男性看護師がトレンドに上がっていましたね。とあるインタビュー記事の発言が発端です。記事自体は男性看護師が少ないが故の課題や、男女関わらず直面するジェンダーバイアスについて書かれていますが、一部、認識に誤解を与える文章があったんです」。
ー産科実習で出産に伴う乳房ケアを実践させてもらえない、出産に立ち会う場面で男子学生のみ室外に出される、といったケースが起こっています。
確かにこれを 「気持ち悪い」と捉える人は多いだろう。
「女性から上がっていたのは、産科で男性看護師の必要性はない、適材適所でいいのでは?という声です。産後直後の乳房ケアは、乳房をあらわにする必要がありますし、乳首マッサージもすることになると聞きます。さすがに男の子の実習生が行うのは…と男性の立場からしても思いますし、夫の立場であればなおさらです。わざわざ、乳房ケアをさせてもらえないと性的な動機で訴えるのはもちろんアウトですが、純粋に看護師としての気持ちだとしても患者の気持ちに寄り添えていないと思わざるを得ません」。
ジェンダー平等を過剰に求めることで歪みが生まれる現実。インタビューのなかでこの一文を取り上げるとこのような誤解が生まれるとは考えなかったのだろうか。
今回は多様性、多様性と口では言うものの、自分の身に起きた時に態度を豹変させたという男性の話だ。
-----------------
菅原典恵さん(仮名・43歳)は、2人の子供を持つワーママだ。
「小学3年生の長男と保育園年長さんの次男です。2人ともすくすくと育ってくれているのですが…」。
同じ男の子といえど、大きな違いを感じると話す。
「長男は活発でスポーツ大好き。今は地元の野球クラブに入っています。夫が野球好きなのでそのことも大きく影響していると思いますね。保育園の頃からキャッチボールしてましたから」。
対する次男は、お家遊びが大好き。
「ごっこあそあび、本当に大好きです。とはいっても車とか電車にもさほど興味を示しません。保育園でも女の子たちの中心にいて、家族ごっこやお姫様ごっこをしているみたい」。
家族ごっことは、昭和の時代でいうおままごとのことである。
「長男が保育園の頃は、お外遊びが主流でした。こんなに違うんだなとびっくりしましたね。それから長男は戦隊モノがとにかく大好きだったんです。誕生日やクリスマスは、変身ベルトなんかを求めていたんですが、次男はまるで違って…」。
リカちゃん人形やプリキュア、シルバニアファミリーなどを求めるというのだ。