親に反対されても産みたいと言ったが、夫は「やはり親にも祝福されるべきじゃないか」と、中絶に賛成したという。
「孤立無援では産めないと思いました。つらすぎてあまり記憶にありませんが、手術直前にも必要な診察があって、病院に行かなければならなかったんです。
その時、一緒に行ってほしいと言ったら、夫はサークルのミーティングでどうしても行けないと。部長だったんですけど……迎えにも来てくれませんでした」
中絶手術のときも夫は来なかった。
「母親が来てくれましたが、『由真の親は俺を嫌ってるだろ』と言って夫は来ませんでした」
手術後のふわふわとした意識の中で、由真さんはお腹にいた小さなわが子がもういないことを思って号泣した。涙が枯れるまで泣いたという。
「そんなに泣くなら無責任なことをしたらダメじゃないの、と言って母も泣いていました。こういう時に痛めつけられるのはいつも女の方なのよ、と」
夫が避妊具を嫌い、いわゆる「外に出す」行為だけで避妊としていたことなど、口が裂けても親には言えなかった。夫をがっかりさせたくないがために、ちゃんと避妊してほしいと言えなかった自分を恥じた、と由真さん。
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