JRをはじめ、各地の交通局や日本民営鉄道協会などが行った鉄道係員に対する行為に関する調査がある。2022年度は543件のトラブルがあり、その半分以上が飲酒ありの状態だったそう。年齢別に見ると60代が最も多く、全体の22.3%を占める。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。
「年代にはさほど、違いはありません。今回は鉄道係員に対するトラブルでしたが、それ以外にも最近、大人たちのトラブルが目に付くそんな話を聞きます。よく見るのは足を組んだり、荷物を置くなど、座席の使い方に対するマナー違反。多くの人に経験があるのではないでしょうか」。
確かに見かけることがある。
「なんとなくマナー違反と聞くと若者をイメージしてしまいますが、実際のところ、我々世代やさらに年配の方もよく見かけます。大人が若者のマナー違反に注意をしていた時代はもう終わったのかもしれません。日本人のモラルは崩壊してしまったのでしょうか」。
今回はとある電車で、日々繰り広げられるマナー違反について観察しているというある女性に話を聞いた。
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高橋かすみさん(仮名・48歳)は、ほぼ毎日同じ電車に乗って通勤している。
「都心から都下に向かって走る電車に乗っているので、混んでいると言っても満員電車ではないんです。だからこそ、気の緩みといいますか、マナー違反が多いんだと思います」。
座席を詰めない、足を組んで隣に座りにくくする、子どもを靴のまま座席に立たせる強者もいるらしい。
「それは一声かけましたけど、ギロッと睨まれた上、細けーなぁ!なんて小さな声で嫌味まで言われてこちらもキレそうでした」。
そのほかにも朝ごはんを食べる人、電話をする人、荷物をどーんと広げておく人、こんなことは日常茶飯事らしい。
「朝ごはんと言ってもこの間はカップのスープを飲んでいる人がいて、度肝を抜かれました。コンビニか何かでお湯を入れた状態で乗ってきたと思うと…。朝ごはんを食べるのにかかるのは、せいぜい15分くらい。それくらい早起きできないものでしょうか…」。
しかも1人がやりだすとタガが外れるのか、翌日には別の人がやり出したりするらしい。
「恐ろしいですよね。みんなでやれば怖くない的な。そんな姿を見たら、子どもたちもやっていいんだと思いますよね…」。
そんなモラルのかけらもない乗客たちに不満はあるものの、何かを言えるほどの熱量は持てないそうだ。
「注意でもして、キレられたら怖いじゃないですか…。すごく気になりますけど、何かあってからでは遅いですから」。
平塚氏はこう話す。