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「だったらナマで大丈夫じゃね?」経口妊娠中絶薬解禁で見えた、夫のクズすぎる人間性に妻が下した決断

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不倫や浮気、DVにプチ風俗……。妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちが密かに抱えている秘密とは? 夫やパートナーはもちろん、ごく近しい知人のみしか知らない、女たちの「裏の顔」をリサーチ。ほら、いまあなたの隣にいる女性も、もしかしたら……。

2023年4月、飲むタイプの人工妊娠中絶薬が日本で初めて認可された。こども家庭庁が、この薬を服用して人工妊娠中絶を行った約400人を調査したところ、服用した誰からも重い合併症など見られなかったことを公表し、再びこの薬に注目が集まっている。

危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は、こども家庭庁のこの発表に対し、とくに女性から不安の声が多くあがっている点を指摘する。

「SNSでは、『悪用する人が出てきそうで怖い』『ちゃんと性教育も進めてからにしてほしい』など、女性たちの切実な声が上がっています。

どの方法であれ、人工中絶で心身に大きなダメージを受けるのは女性です。間違った認識がなされないよう、認可した国もしっかりと啓蒙していく必要があるでしょう」

昨年、経口妊娠中絶薬が日本で初めて解禁されたとの報道後、ふとした会話から夫への不信を募らせているという女性に取材した。

「去年の今ごろだったか、経口中絶薬が認可されたというニュースを夫婦で見ました」

昨年の夏、たまたまニュースで経口中絶薬認可を知った、と話すのは28歳の西荻由真さん(仮名)。同い年の夫と2人暮らしの会社員だ。

「この薬が認可されたことを聞いて私がまず思ったのは、中絶に対する男側の罪悪感を減らしてしまいそう、というものでした」

昨年日本で初めて認可された「メフィーゴパック」とは、従来の外科的手術による人工妊娠中絶を受けなくても人工中絶ができ、女性の体の負担を軽減し得るという経口薬である。

「よくある掻把(そうは)法は体へのダメージが大きいので、飲むだけなら確かに負担は軽くなるのかと思う。それに、性犯罪を受けてしまった人などは、体の負担だけでも軽くしてあげないと本当にキツいと思うので、そういう意味では有効かもしれません」

良い面もあるだろう、という感想を持ちはしたものの、その思いをかき消したのが、同じニュースを見ていた夫のクズ発言だったという。

「『初認可か、それじゃ保険はきかないよな? にしても5万はたけーな』とまず夫は言いました」

認可された昨年6月時点の報道では、メフィーゴパックの服用は人工妊娠中絶にあたるため自由診療扱いとなると報じていたそうだ。由真さんが見たニュースでは、価格は5万円ほどになると伝えていたらしい。

「高いは高いですが、私は夫が次にポロっと口にした言葉に耳を疑いました。『これが自由に使えるってなれば、避妊自体いらなくね?』と言い出したんです。悪魔かよ、と思いました」

由真さんは夫の発言に強いショックを受けつつも、努めて冷静に「経口中絶薬があると、なぜ避妊をしなくても良いと思うの?」と聞いてみた。

「夫の言い分はこうです。望まない妊娠を避けるために避妊行動をしてきたけれど、それはその先に中絶手術という苦痛があるからだと。薬を飲んだだけで流れるなら、避妊自体しなくても問題はないのではないか、と。まあ、大体想像どおりのアホ回答でしたが」

でも……と夫は言葉を継いだ。

「『これがもっと安くなれば、よっぽど危険な日でもない限り、妊娠を心配せずにできるよな』と。何を言っているんだろうと、不快感で吐きそうでしたね」

由真さんは夫の嬉しそうな表情を見て虫酸が走る思いだった。

というのも、由真さんとこの夫は、過去に人工妊娠中絶を経験したカップルなのだ。

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「中絶がいかにキツいものなのか、学生時代の夫はまったく理解していなかったのですが、人間性というのは、時間が経てば自然に成長するわけではないということが今回のことでよくわかりました」

学生時代に中絶後、「責任を取る」かたちで交際を続けて結婚にいたった2人。

当時はそんな彼を「責任感の強い人」と思った由真さんだったが、月日が流れて経口中絶薬に対する夫の言葉を聞いたとたん、過去の夫のクズっぷりが鮮明に思い出され、彼女の中で一本の線に繋がったのだった。

「彼と結婚したくて、何でも良いようにとらえていただけかもしれませんし、私自身も彼を『いい加減な男』と罵った親を、幸せになって見返したい気持ちがあったのかも。でも夫の本当の人間性は親が指摘したとおりだったのでしょう」

中絶や妊娠に対する自己中心的でいい加減な認識を持つ夫。その人間性を垣間見せた過去のクズな言動とは何だったのか。後編に続く。
 

取材/文:中小林亜紀

PHOTO:Getty Images

▶︎後編に続く


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