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LIFESTYLE 女たちの事件簿

自衛隊への個人情報提供が「家庭を直撃」ノンバイナリーの息子を育てる、50代主婦の「知られざる苦悩」

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不倫や浮気、DVにプチ風俗……。妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちが密かに抱えている秘密とは? 夫やパートナーはもちろん、ごく近しい知人のみしか知らない、女たちの「裏の顔」をリサーチ。ほら、いまあなたの隣にいる女性も、もしかしたら……。

東日本大震災から13年、熊本地震から約8年、そして能登半島地震発生からは2か月以上が過ぎた。いずれにおいても被災地の復興に尽力してきたのが自衛隊だが、現在隊員はおよそ1万人も不足しているとされる。

自衛隊入隊志望者の増加が望まれる一方で、近年の防衛力強化を懸念している方もいるのではないだろうか。自衛隊は「防衛力の中核であり(中略)防衛力の抜本的強化を支える」ものと位置づけられている(自民党による)。

国が若者に自衛隊入隊を勧誘する動きを進めている現状について、危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。

「各自治体(註:現状では全体の6割超とされる)は、自衛官募集の対象となり得る人の個人情報を自衛隊に提供しています。これは、防衛大臣が自治体に依頼して行っており、法的根拠があるもの。情報提供はその年度に18歳・22歳になる男女がメインとされます。

ただし、この情報提供は個人の意思で除外申請することが可能。申請には期限が設けられているため、ご自身の自治体はどうなっているのか、知らない方は一度確認してみてはいかがでしょうか」

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今回、自治体から自衛隊入隊の勧誘を受けたことがあるかどうかや、勧誘された際の経験などについて取材していくと、ハガキを受け取って初めて自衛隊が一般家庭に勧誘の通知を送っていることを知ったと教えてくれた方が複数いた。

そんななか、自衛隊への情報提供をめぐって家庭内でひと悶着あったという女性から、世相を反映するような話を聞くことができた。

「うちの息子は映像制作を学んでいて、今年22歳になります。たいへん中性的な子で、メイクが上手くスカートを穿くことも多いですが、かといって女性の服装だけをするわけではありません。最近よく耳にするジェンダーフリーを体現しているような子です」

こう語るのは50歳の専業主婦、酒向美菜子さん(仮名)。

「悩んだこともありましたが、本人は『自分はノンバイナリー』と言っていて、今は理解してあげたいと思っています。息子は特に女性っぽくふるまうわけでもなく自然体。つかみどころのない不思議な子なんです。でも、やりたいことに真っ直ぐで優しくて、そういう点ではわが子ながら尊敬しています」

そんな息子さんを良く思っていないのが、美菜子さんの夫の父だという。

「なんだあいつのあのバカみたいな格好は。美菜子さんが甘やかしてスカートなんて買ってやるからあんなふうになっちまったんだろうと何度も言われています。家に夫がいれば間に入ってくれますが、私が直に反論すると火に油です。もう慣れつつありますが」

男は男らしく、女は女らしくという、今ではレトロ感さえ漂うかつての決まり文句は、舅にとってはまだまだ現役ワードだ。

「上の娘の仕事の頑張りにもいちいち難癖をつけます。女のくせにあんなに稼いだら男が寄ってこないとかかわいくないとか。よそで言ったら大変なことになりそうなセリフを平気で吐くんですよ」

ジェンダー問題や各種ハラスメントについてよく知り、考えや態度を時代に合わせるべきだとは思うが、一定の年齢以上の人の多くは対応できないだろう、と美菜子さん。

「今の若い人が昭和の感覚についていけないのと同じことで世の常。仕方のないことですよね。舅のことは諦めています」

子供たちは、高圧的でアタマが古すぎる祖父と生活をともにすることができなかった。

「3年ほど前に姑が亡くなり、生活の心配をした夫が声をかけた結果、舅は私たち夫婦の家で暮らすことになりました。上の娘はおじいちゃんがうっとうしいので舅が越してくる前に家を出、息子もやがてお姉ちゃんのマンションに転がり込みました。子供2人は市内で暮らしています」

79歳の舅は昔から口やかましく、美菜子さんもいろいろと苦労してきた。

「姑の死後しばらく経つと、俺は80歳になったら高齢者向け住宅に入るとお義父さんが宣言。同居が期間限定となったので私も何とか耐えられました。まあ、お義父さんご自身も我が家の居心地は良くなかったんでしょうね。お互い様な部分もあると思います」

現在の舅は実際に高齢者向け住宅をいくつか内覧するなど活動を進めており、美菜子さんはカウントダウンが始まったと胸を撫で下ろしている。しかし、まもなく同居のストレスから解放されると内心安堵していた美菜子さんに、最近思いがけない事件が起きた。つい先日、息子が美菜子さんへある頼み事をするために実家に戻った際、舅の不用意な発言が息子を深く傷つけたというのだ。



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