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「敷居が高いって本来そういう意味じゃないけど」言葉の誤用をいちいち指摘する【本来の意味警察夫】にはどう対処すべきか。

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不倫や浮気、DVにプチ風俗……。妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちが密かに抱えている秘密とは? 夫やパートナーはもちろん、ごく近しい知人のみしか知らない、女たちの「裏の顔」をリサーチ。ほら、いまあなたの隣にいる女性も、もしかしたら……。

文化庁が実施した国語に関する世論調査によると、今の国語は非常に乱れていると思う、ある程度乱れている思うと答えた人の割合は全体の65%以上を占めたという。一方で乱れていると思わないと答えた人のうち約40%が「言葉は時代によって変わるものだ」と答えている点も興味深い。

他者との会話の中で気になる人もいるであろう「言葉の間違い」について、危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう語る。

「言葉には本来の意味や文法上の正しい使い方などがありますよね。ですが、普段の会話の中では、他人の言葉を遮ってまで、あるいは雰囲気を悪くしてまで訂正すべきでないとお考えの方も多いのではないでしょうか。

なかなか難しい問題ではありますが、良かれと思った発言で会話を台無しにしないよう、上手に指摘することが大事ですね」


配偶者に対してイラっとする瞬間について取材を行う中で、「夫が言葉の訂正魔で腹が立つ」という話を聞かせてくれたのが、40歳の会社員・水原夏絵さん(仮名)である。

「夫は高校の同級生なのですが、昔から言葉に対する知識に自信を持っています。漢字にもめっぽう強くて、漢検1級を持っているのが自慢。責任感が強く、家事も積極的にしてくれて基本は好きなんですが、言葉の本来の意味や文法にうるさいので、時々猛烈にイラっとしますね」

冒頭、夏絵さんは笑みを浮かべながらこう話した。日常のなかで例えば夫はどのようにして言葉の間違いを指摘するのだろうか。

「例えが多すぎてどれから話そうか迷うほどですが、つい先日指摘されたのが『敷居が高い』という言葉の間違った使い方です。指摘する時の表情がまたムカつくんです。いつも大体『しょうがねえなあ、教えてやるよ』みたいな顔をしますね」

©Getty Images

敷居が高い、とは、前に不義理をしたことのある相手のお宅にお邪魔しづらい、顔を合わせづらい、といった心境を表す慣用句だ。しかし、今では分不相応な気がして高級なお店などに入りづらい、という意味で使う人が増えている。後者の使い方は、本来の意味に照らせば誤用である。

「こちらとしては、ある話題について夫と語り合うための手段としてその言葉を使っただけのこと。そういう指摘を挟まれると、本筋と別のところへ話が逸れてしまうんですよ。いやいや、指摘の内容は正しいかもしれないけど、タイミングは完全に間違ってるよと思います」

その時々の場の雰囲気や流れよりも自分の知識の披露や言葉の正誤にこだわる夫。

「実は『敷居が高い』については、過去に何度も指摘されています。夫から何度教えられても時間が経つとどちらが正しかったかわからなくなって、また同じ失敗をするんですね。

ですが正直な話、テストじゃないんだから、『こういうことが言いたいんだろうな』って伝われば十分な気がします」

これまでに数えきれないほど夫から言葉の誤用を指摘されてきた夏絵さんだが、それらに共通して言えるのは「何度教えられても正解を覚えられない言葉が結構多い」ということだ、

「一度教えられただけで正しい意味を覚える場合もあるんですが、『敷居が高い』みたいに、時間が経つと正解がわかんなくなっちゃう言葉もあり、つい何度も間違って使ってしまうんです。

何度も間違える私も私ですが、それを毎回指摘する夫も夫だと思う。まるで初めて指摘するかのようなトーンで言ってくるから、夫の記憶力もいい加減なものですよね」

夏絵さんは「確信犯」や「役不足」など、誤用が多い言葉としてメディアで紹介されがちな言葉の本来の意味を、何度聞いても覚えられない。そのため何度でも間違ってしまい、都度夫に指摘されることとなる。同じような経験を持つ人も多いのではないか。

さらに次回では、夫の言葉パトロールが激しさを増し、家族関係にも深い溝を作ることになる。

取材/文 中小林亜紀

▶︎後編に続く


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