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LIFESTYLE 女たちの事件簿

「近所に響き渡る、老婆を怒鳴る声…」バツイチ主婦がUターンで見た「地元ディストピア化の実態」

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不倫や浮気、DVにプチ風俗……。妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちが密かに抱えている秘密とは? 夫やパートナーはもちろん、ごく近しい知人のみしか知らない、女たちの「裏の顔」をリサーチ。ほら、いまあなたの隣にいる女性も、もしかしたら……。

想像を超える残忍な犯罪が日々報道され、連日重苦しい空気に包まれがちな日本列島。

現代を生きる我々の誰1人として例外なく、恐ろしい犯罪に巻き込まれるリスクを抱えているという現実を前にすると、周囲の人を見る目もつい疑心暗鬼になりがちだ。

危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は「地域社会の交流が少なくなっている昨今ですが、自治会などは、住民に何か異変や不安がないかどうかを聞き取り、必要に応じて然るべき機関に相談するような取り組みを独自に行うことも重要です」と語る。

地方の山間部に住む浅山絵美さん(仮名・39)は、先だっての長野の立てこもり事件にことのほか恐怖した1人。

事件が起きた地域を彷彿させる閉鎖的な田舎に暮らす絵美さんにとって、ご近所トラブルが家族の危機や犯罪に発展しないかどうかという思いは強まるばかりで、件の事件も「他人事だと思えなかった」という。

絵美さんが感じている不安について聞かせてもらった。

「離婚したばかりなのですが、半年前、3人の娘を連れて田舎の実家に戻ったんです。面倒なこともあるけど、のどかで安心できるという点だけは間違いないと思って帰ってきました」

離婚前は都市部で暮らしていたが、家賃の節約と母親の育児協力の魅力に敵うものはなかったと絵美さんは言う。老いて寂しがりやになった母親も、孫たちと暮らせることを喜んだ。

「子どもは中2と小6、少し離れて小2という娘3人です。母はこの5年ほど2人暮らし。ということで、女5人の暮らしが始まりました。でも、女だけってやはり不安です」

とりわけ絵美さんが不安視しているのが、向かいの家の息子だという。

©Getty Images

「向かいの家には、私が昔”おばちゃん”と呼んでいた人が息子と2人で住んでます。おばちゃんも今はすっかりおばあちゃんですね。80歳くらいだと思う。その息子のことを、私は小さい頃”お兄ちゃん”と呼んでいました。

私が小学校に入る年に高校を卒業したというので、ひと回り上のはず。この”お兄ちゃん”が今50歳で、激ヤバ中年に変貌しているんです」

絵美さんの母の話では、お向かいの息子は、30代半ばまではお堅い金融機関に勤めていたのだそう。しかし、ある時期を境に仕事に行かなくなり、今は無職で、どうやら母親の脛をかじって暮らしているという。

「母が言うには、10年以上前から、たまにその男の大きな声が聞こえてくるようになったと。少なくとも私が越してきてからは、何度も怒鳴り声を聞いています。自分の母親に対して怒鳴っているんだろうなと、近所はみんな思っています……」

絵美さんは、お向かい宅がすでに昔とは違うということを受け入れるまでに時間がかかった。

「怒鳴り声が聞こえてくるたびに信じられない気持ちが込み上げます。昔は普通に感じのいいお兄ちゃんだったと思うのですが、何かが彼を変えたんでしょうね。

最近身内に対する恐ろしい事件が多いじゃないですか。長女など、『お前がどうたらこうたら』だったり、『クソばばあ』という声を聞いてしまったと言って、凄く怖がってました」

絵美さんが恐れているのは声だけではない。最近、怒鳴り声をまき散らしている向かいの中年男が、カメラを持って通りをうろつく姿が何度も目撃されているのだという。

しかもそうした行動を見せるようになったのは、絵美さんと娘たちが実家に戻ってからのことなのだと母は訴えている。

絵美さんの脳裏をよぎる不安は、かわいい娘たちに向けられているかもしれない卑猥な眼差しからくるものだった…。

取材/文 中小林亜紀

▶︎後編に続く


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