「姑はとにかく孫命で、お金は出すけど口も出すタイプ。孫の進学先から将来の職業までを決めつける、孫ベッタリ姑だったんです」
呆れ顔で話すのは、九州地方在住の古賀舞子さん(38歳・仮名)。
夫、8歳と6歳の娘と4人暮らしで家族仲よく充実した生活を送っている彼女だが、頭を悩ませる存在がいる。夫の母親にあたる姑だ。
危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は嫁姑関係について、こう話す。
「同じ女性であるものの、育った環境や時代や価値観が異なる嫁と姑は対立しやすい立場にあります。トラブルが起こる理由のほとんどが性格の不一致や価値観の違いです。
今回のように孫が産まれて子育てに口を出してくる姑に対し、嫌悪感を抱くお嫁さんは一定数いらっしゃいます。他人からは『孫を可愛がってくれる姑は羨ましい』『面倒を見たがるなんてありがたい存在だ』と言われるかもしれませんが、彼女らにとっては必ずしもそうではないのです。
可愛い孫とはいえ、自分が親のようにふるまい暴走する姑に疲弊している方は多いですよ。自分の意見をしっかり伝えて夫に相談するのが得策ですが、なかなかうまくいかないケースがほとんどです」
今回は、孫に執着するヤバすぎる姑とマザコン夫をもつ妻の苦悩についてリポートしていきたい。
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舞子さんと夫は共に薬剤師として勤務している。大学で同じ学部だったことがきっかけで交際を始めた。結婚と同時に夫の故郷である九州に移り住んで、二人の娘に恵まれた。
出産後は調剤薬局でパート勤務をしている彼女は、仕事と家事を両立しながら子どもの習い事の送迎や勉強のサポートをおこなっている。
「俺は一人息子だし、両親が子どもの面倒を見てくれるらしいから実家の近くに住みたい」と言った夫の意向で義実家から徒歩10分圏内にある分譲マンションを購入し、娘が生まれてからは週一ペースで姑と顔を合わせている。
結婚当初は姑と良好な関係を保っていたが、5年前に義父を亡くして以来、孫への執着が加速していったようだ。
「結婚してすぐ『子どもは? いつ産む予定?』『子どもがいい大学へ行くには環境がすべて。母親がしっかりしないといけない』と言われ続けていて。孫をとっても楽しみにしていました。
義母が私たちの娘に執着する一番の理由は、将来医者にさせたいからなんです。夫は医学部二浪を経て薬学部へ進学し、薬剤師になりました。
亡くなった義父も医者だったので、義母はどうしても息子を医者にさせたかったようですが叶わず。息子のぶんを孫に託したような感じで、教育面や習い事に対して口うるさいんです。『孫たちが医学部へ行くまで死ねない』が口癖ですね……」
初孫である長女が産まれた当日、義父母は一目散に病院へかけつけた。義母は退院するまでの間、毎日5時間は病室に滞在して産まれたての娘をたいへん可愛がった。
当時は現在のように面会が厳しくなかったため、連日来られると産後ボロボロの体を休ませる暇もなく精神的に辛かったという。
「生まれてから毎日病室へ来るなんて、田舎ってこんなもんなの……?と疑問に思っていましたが、義母が異常なだけでした。
あと、孫には絶対にばぁば・ばぁちゃんと呼ばれたくないみたいで、”かよちゃん”ってあだ名で呼ぶよう徹底させています。名前が佳代子なので、かよちゃんらしいです。幼少期からのあだ名らしく」
孫を溺愛し執着している姑だが、逆に子どもたちは姑をどう思っているのかというと。
子どもたちは姑が大好きなようで、なんでも買い与えてくれる優しいおばあちゃんとして慕っている。
料理が人一倍上手で丁寧な暮らしをしている姑。義実家は常に清潔で庭の手入れも行き届いている。姑はどこか上品な雰囲気が漂っているため、近所の人から一目置かれる存在だった。
そんな”上品な人”のイメージとは裏腹に、アポなしでマンションへ尋ねてくるのは日常茶飯事だったらしい。