■良質の個体かつ、25年ルールをクリアしたことで、高騰した
今回5600万円で落札されたNSXタイプRの出品データを調べてみたところ、年式は1994年製造(平成6年)のNA1型(3.0L V6エンジン)、5速マニュアル車、修復歴はなし、ボディカラーはチャンピオンシップホワイト、走行距離はなんと13,000kmの超極上車。
走行距離が1万キロ台という奇跡的な個体だったので、競り価格が上がりやすかったという事情もありますが、ここまで落札価格が上がってしまったのには、米国における、日本のスポーツカー人気があります。
ご存じの人も多いかと思いますが、米国では、映画「ワイルドスピード(邦題)」などの影響で、「古い日本車に乗るのがカッコいい」という文化があるそう。しかしながら、米国には、「アメリカ合衆国の安全基準を満たさないクルマは輸入できない」という輸入規制があり、左ハンドルである日本車をそのまま米国内に輸入することはできません。
ただ、この輸入規制には、「製造から25年以上経過したクルマであれば、右ハンドルでもそのまま走っていい」とする例外が設けられており、今回のNSXタイプRは、その例外に当てはまったことで、ここまで価格が高騰してしまったのだと考えられます。
■円安ドル高も影響か
2023年6月~11月の半年間で、NSXタイプRが中古車オークションへと出品された件数は、上記の5600万円の事例を含めて4件。その相場は3600~5600万円と、どれも高額落札で終えています。おそらく、昨今の円安ドル高も、この高額落札に大いに影響しているのでしょう。
今年2024年は遂に、R34スカイラインGT-Rが米国の25年ルールをクリアします。すでに中古車相場が高騰しているR34スカイラインGT-Rですが、今後はさらに高騰していくでしょう。いずれは国内よりも、海外で日本の90年代スポーツカーを見かけるほうが多くなっていくかもしれませんね。
Text:Kenichi Yoshikawa
Photo:HONDA
Edit:Takashi Ogiyama