今、世の中は大きな過渡期に差し掛かっている。コロナ禍を経て、ワークライフバランスは大きく変わり、リモート勤務の人も一気に増加した。普段の暮らしに戻ったとはいえ、リモートワークを継続する人も多い。さらにSNSの台頭、webの浸透により、パラダイムシフトが起こった。
ファッション業界、そして出版業界はその影響をもろに受けていると言っても過言ではない。スーツは売れなくなり、雑誌は休刊の嵐。そのなかで働くモデルたちは逆風に晒されている。特にメンズモデルの世界は、そもそも女性モデルに比べると需要が少なく、厳しさが増す。
そんな苦境のなかで異彩を放つのが、スーツ姿の4人組メンズモデルおじフェス(仮)だ。知らないという方は、すぐにInstagramやTikTokでハッシュタグ検索をして欲しい。イケおじたちがときに真面目に、ときに楽しそうにダンスをしている動画が次々と上がってくるはずだ。今、彼らは同年代のみならず、若い世代からも注目を集めているらしい。
彼らは目の前に広がる茨の道をある逆転的な発想で突き進んでいる。今回はその真相に迫るべく、4人に会いに行ってきた。
おじフェス(仮)は、現役モデル4人で結成されたユニットだ。SNSで発信したダンス動画がバズり、いまではイベントにも引っ張りだこ。今やアイドル的な人気だ。メンバーは加藤章太郎さん(53歳)・TAROさん(50歳)・久保田裕之さん(42歳)・直樹さん(53歳)の4人。
そもそもユニットを始めたきっかけは、どこにあるのだろう?
久保田裕之さん(以下久保田)「去年の夏に直樹さんと章太郎さんと撮影で一緒になったとき、ちょっと踊ってみない?と直樹さんに誘われたのがきっかけ。簡単なステップを踏んだ動画を僕のInstagramにアップしたら、再生回数が想像以上に多くて。遊びの延長線上で始まった、そんな感覚です」。
その後、直樹さんの声掛けでTAROさんが加入し、今の4人になったそう。そもそもダンスが得意だったのかと尋ねると4人口を揃えて「まったく」だと話す。
加藤章太郎さん(以下加藤)「簡単なボックスを踏むのでさえ四苦八苦でした(笑)」。
直樹さん(以下直樹)「手と足がバラバラになってしまったりね」。
TAROさん(以下TARO)「その場でいきなりはできないので、事前にLINEで楽曲を相談して、それぞれが家で練習してくるスタイルです」。
しかし、その完璧じゃない踊りが逆に人々を惹きつけた。
久保田「踊りはもちろん、その前後というか、じゃれあっているところなんかも包み隠さずアップしていくうちに、再生回数だけでなく、フォロワーもみるみる増えていったんです」。
フォロワーの伸びは、それぞれのアカウントで急増した。彼らは確かにモデルでイケメンだ、しかしFORZA世代と変わらないおじさんでもある。いわば同志が突然、知名度を爆上げしたとも言えるだろう。ちなみにおじフェス(仮)というユニークなユニット名の由来はどこからきているのか?