「小さいパーキングエリアなのでトイレの目の前に車を止めることができました。外に出るとかなり冷え込んでいたので、近くだし!と車のエンジンをつけたまま、トイレに行ったんです」。
玲子さんの車のキーは通称スマートキーと呼ばれるものだ。メーカーによって呼び名は異なるものの、昨今の車はこのスマートキーが主流になっている。平塚氏はこう話す。
「ボタンで施錠、解錠ができたキーレスエントリーよりさらに進化したのがこのスマートキーです。スマートキーは施錠、解錠だけでなく、エンジンのON/OFFもキーを出したり、シリンダーに差し込むことなく、行うことができます」。
しかし玲子さんは施錠をするとき、補助鍵と呼ばれる物理キーを用いたと話す。
「いくら田舎とはいえ、車の鍵を開けたままでは怖いのでスマートキーに内蔵されている物理キーを用いて施錠をしました。こうすれば、エンジンをかけたまま鍵をかけられるので、戻ってきた時にエアコンも効いているので楽だなと」。
問題が起こったのは、玲子さんがトイレから戻ってきた時のことだったという。
「車に近づき、ドアのボタンに触れましたが、ドアが開かないんです。もしかしたら物理キーを使ったからかな?と思って、凍える手で物理キーを鍵穴に差し込みましたが、まるで手応えなし。うんともすんとも言わなくなってしまったんです…。車のエンジンはかかっているのに、なぜか鍵がまったく回らない。スマホも財布も全部車の中です。パニックになりました」
【後編】では、寒空の中、締め出されてしまった玲子さんがさらに窮地に追い込まれた顛末、そして気づかなかった問題行動について詳しく話を聞いていきたい。
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