ヘッドライトを1~2回点滅させて周囲のドライバーに合図を送る「パッシング」。ドライバー同士、うまくコミュニケーションがとれると気持ちがいいものですが、パッシングは、場合によっては、トラブルに繋がってしまうこともあります。
■パッシングは便利だが、誤解を生みやすい
パッシングがよく使われるのは、右折待ちをしているクルマに、対向直進車が「いっていいよ」を伝えるというシーンでしょう。対向直進車が、速度を緩めながらパッシングで合図してくれた経験は、ドライバーならば1度や2度はあるのではないでしょうか。
ほかにも、パッシングは、「この先で警察が(速度超過の)取り締まりをやってるよ」とか、「この先に落下物があるから注意してね」という危険を、対向車線を走るクルマに教える合図として使われたり、すれ違いが困難な狭い道で対面したときに、適切な場所に停止したあと、パッシングで「どうぞ」を伝えることもあります。
また、右折待ちをしているクルマが対向直進車に「先に行かせて!!」と伝えるときや、昼間なのにヘッドライトをつけているクルマに「灯火してるよ」を知らせるとき、対向車へ「ハイビームになってるよ」を伝えるときなども、パッシングが使われることもあります。
このように、パッシングは、ドライバー同士の距離がある場所でコミュニケーションをとることができるため、便利ではありますが、使い方を誤ったり、ドライバー同士の意思疎通がうまくいかないとトラブルに繋がってしまうことあります。
実際に、2019年には、店の駐車場から道路へと急に飛び出してきた大型セダンに驚いた軽自動車の男性がパッシングをした結果、大型セダンの男が逆ギレし、約450メートルにわたって急ブレーキを繰り返すあおり運転をうけ、赤信号で停車した男性の胸ぐらを掴みにかかる、という事件が発生しています。
急に飛び出してきたとするならば、大型セダンに文句を言いたくなるのはわかりますが、どこまで急だったのかはわかりませんし、このシーンでパッシングが本当に必要だったのかは、ドライバーとして考えさせられるものがあります。