宝塚歌劇団内で深刻ないじめがあったのではないかという疑惑が報道されている。噂の一人歩きも心配なこの問題、粛々と真相究明がなされてほしいところだが、いずれにせよ職場や学校に人間関係のごたごたはつきものだ。
危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は職場でのいじめについてこう指摘する。
「ある企業が全国20～50代の男女650人を対象に職場でのいじめに関する調査を行ったところ、職場でいじめを経験・目撃したことがあると答えた人は全体の約6割に上ったそうです。
また、厚労省が発表する『雇用動向調査』の結果では、女性の退職理由の上位に人間関係が上がっています。男女問わず職場のコミュニケーション向上などは大きな課題ではありますが、女性が安心して働ける社会作りには、職場の人間関係をいかに良好に保つかという点は大変重要な課題といえるでしょう」
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今回、取材を受けてくれたのは、6年間パート従業員として勤めたアミューズメント施設を、職場でのいじめが原因で退職した経験を持つ砂山菜美子さん（仮名）。平日の昼間は男性店長以外すべて女性パート社員という「女の職場」で菜美子さんが受けたいじめとはどのようなものだったのか、実態を聞いた。
「ゲーム、ガチャガチャ、キッズスペースなどが広がるアミューズメントフロアで接客、ゲーム機の管理・故障対応、レジ業務を担当していました」
当時の仕事内容をこう紹介した菜美子さん。女性パート従業員は10名以上。平日の日中はほぼこのメンバーで、数名ずつ出勤するシフト制で業務を回していたという。
「夕方・夜間・休日はフリーターや学生などが来ますが、平日の日中は30代～50代のパート女性ばかりです。フリーターの若い子とかも、オバさんの団体が怖いのか、働き始めてしばらくすると、だいたい曜日や時間帯を変えてしまいます。平日の日中、男性は概ね店長1人。店長は30代半ばの男性で、運営会社の社員でした」
©Getty Images菜美子さんは、パートの中では古株の一人。それまで人間関係で不愉快なこともあったが、我慢できる範囲だったため、「仕事というのはこういうもの」と割り切って5年ほど勤めてきたそうだ。潮目が変わったのは現在の男性店長が転勤で配属されてからだったという。
「実は私が入社する直前まで在籍していた当時の男性店長が、パート従業員から嫌われ、異動に追い込まれるほどのいじめに遭っていたという噂は聞いていたんです」
中年世代の女性に限ったことではないが、群集心理がいじめに拍車をかけたようで、パート社員たちよりも圧倒的に若かった男性社員は歯向かうこともできず、やることなすこと目の敵にされ、体調を悪化させてやめていった、と伝え聞いていた。
