「うちの息子たちは3人とも塾に行かずに国立大を出たんだ。そのDNAがあれば塾なんか要らないよ、と義父は言いました。ですが、そのあと少し沈黙して、こう言葉を継いだんです。ああ、あんた両親とも定時制高校の出だったな、おいおい孫の頭は大丈夫なのか、と」
あまねさんは驚きのあまり凍りついた。
「まさか、お義父さんがそんな侮辱的な発言をするなんて想像していなかったので、硬直してしまったんです。夫はすぐに『父さん、めちゃくちゃ失礼なこと言ってるよ、それはダメ』とフォローしてくれましたが、お義兄さんはにやにや笑ってました。私ショックすぎて、その後どう過ごしたか覚えてないんです」
そのあと義実家から夫婦の住まいへ戻る車中、あまねさんは涙が止まらなかった。夫は「うちの父親、酔い過ぎだよな。ごめんね」と気にかけてくれたが、酔った時こそ本音が出るものだとあまねさんは思った。
「その日だけのことではなくて、子どもが生まれた後のことを想像したら不安が大きくなってしまいました。それで母にその出来事を報告すると、大激怒したんです。当たり前ですよね。うちの親はわりとそういうのを聞き流せる方だと思っていたので、油断して傷つけてしまいました。言うんじゃなかった。本当に悔やんでいます」
あまねさんの両親は舅の発言が許せず、「あまねはダンナさんと幸せにやりなさい。私たちはあちらのご両親とは金輪際お付き合いしない」と言い出した。
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