国立社会保障・人口問題研究所の2015年「出生動向基本調査」によると、結婚相手を選ぶ際の決め手として一番に相手の「人柄」を挙げる男女が圧倒的多数であったのに対し、「学歴」を求める人は男性が30%、女性が55%程度だったという。
結婚相手には学歴や経済力よりも、まず人として信頼できるかどうかや自分と相性が良いかどうかを問う人が多い、と言えるだろう。
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その一方で、危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は結婚の実態についてこう指摘する。
「皆さん建前では人柄だとか優しさが大事とおっしゃいますが、実際には『ある程度は学のある相手じゃないと結婚はムリ』『大卒の人じゃないと親が嫌な顔をする』などの本音を持つ人もまだまだ少なくないようです。
中には親が子の結婚相手の学歴を気にする、などというケースも未だにあるのが実態。人間をどこで測るかという基準は、本当に人それぞれなのです。結婚を検討中の方は、お相手の家族の価値観までチェックしておかれることをおすすめします」
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今回お話を聞いたのは、一児の母である竹宮あまねさん(仮名・36歳)。7年前に婚活パーティーで知り合った男性と結婚した、会社員の女性だ。あまねさんは、夫の親の学歴に対する価値観や偏見がもとで両家が険悪になってしまったことに心を痛めている。
「私は昔から結婚願望と安定志向が強かったのですが、恋愛経験が少なく、恋という恋をしたこともなかったので、危機感から婚活を早めに開始しました。20代半ばにはお見合いパーティーに参加したり結婚相談所に登録したり。今の夫とは地元の自治体が主催した婚活パーティーで知り合いました」
あまねさんの安定志向は、もともと親の影響が強いそうだ。
「うちの両親はどちらも経済的に苦労しています。2人とも昼間の高校に通う余裕がない家庭で育ち、夜間の高校で出会って若いうちに結婚しました。父は腕のいい自動車整備工で、古い外車などの難しい整備も父に頼みたいといって遠方からお客さんがいらっしゃるほどの職人です。母も経理のプロ。私は両親のことを誇りに思っています」
あまねさん自身は、全国的にも有名な私大を卒業している。両親は若い頃こそ苦労してきたが、現在は自動車整備と販売の会社を安定的に経営しており、あまねさんも妹たちも何不自由なく育てられた。
「夫は国立大卒。7歳年上で、士業事務所を経営しています。彼にプロポーズされてお受けしたあと、義実家に最初に挨拶に行った時、まずご両親は私の学歴を聞いてきました。最初の質問ですよ。とっくに夫に聞いて知っていたと思うんですが、あえて聞いてきたんです。まるで自分たちの価値観を見せつけるようでした」
あまねさんが出身大学名と現在勤めている会社の名前を告げると、義両親は目も合わせずにかすかに頷き、「まあそこならギリギリ許す」とでも言いたげな表情を浮かべたという。