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LIFESTYLE 女たちの事件簿

「政府の代わりにお金を配ります!」SNSのおカネ配りに、うっかり応募。月収28万円のシングルマザーに欠けていた視点。

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英子は途方にくれた。頼みの綱である両親は先月、ぎっくり腰になって身動きが取れない状況だという。

「これまでかなり心配と迷惑をかけてきたこともあり、体調が悪いときに10万円を貸してくれとはどうしても言いにくくて。今でもかなりの額を借りたまま、返せていないんです」

最後の手段は、息子に協力を仰ぐこと。しかし、子どもにお金を借りることだけはしてはならない、英子はそう決めていた。とはいえ、10万円を集める手段はほかにはない。学校側に相談するしかない…そう思っていたときに、あのTwitterが頭の中に浮かんできたのだ。英子はTwitterを開き、画面をスクロールした。すると先日の怪しい男ではない、別の男のツイートが目に飛び込んできた。

プロフィールには彼がかなりのお金持ちであること、さらに「闘病中で先が長くないこと」、そしてフォロー&リツイートで資産をみんなにシェアするということが書かれていた。

「以前見たアカウントと同じく、札束の写真がありました。以前と違ったのが、その数がものすごく多いこと。何枚も何枚もありました。さらに画面をスクロールしているとある写真が現れたんです」

それは振り込みをしたであろう通帳の写真だった。それは英子も使っている銀行の通帳で、しっかりと印字がなされていた。英子はこの1枚を見て、本当にもらえるのかもしれない……そう思ったという。ここまで読んだ読者は「なぜそんなあからさまな詐欺に」と思うだろう。しかし、藁をもつかむ母親には、それは救済の光に映ったという。

「急に信憑性が上がったんです、私の中で。振り込み相手の名前はモザイクになっていましたが、振込金額と手数料が記載されていました。世の中には稀有な人がいるのかもしれない……そう思ってしまったんです」

受け取りはビットコイン、現金、PayPayから選ぶことができると書かれていた。英子はひとまず、その男をフォローした。しかし、すぐにはリツイートはしなかったという。

「すこし怖かったというのが本音のところです。知らない人からお金をもらうなんて、やっぱり何かあるんじゃないかな?って。だけど、お金が欲しいのも事実。40万円が今手に入れば、娘の教育充実費も払えますし、みんなで入学祝いのご飯を食べに行くことだってできる……すごく葛藤したことを覚えています」

危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏が語る。

「前澤さんのお金配り以降、Twitterでは自称お金持ちによるお金配りが後を絶ちません。個人情報を抜き取られたり、カード詐欺にひっかかったり、犯罪集団に情報を悪用されたりするリスクだらけの行為で、消費者庁にも多数相談が寄せられています」

次回、「「本当にもらえるかも…」藁にもすがる思いで「お金配り」に応募、詐欺られたシンママの末路 」では、英子が詐欺に引っかかったやり口を詳細にレポートする。反面教師として読み進めてほしい。

ライター 悠木律

▶︎ついに魔が差してしまった英子。このあとどうなってしまうのか……。後編に続く。


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