「これまで数多くの欠陥住宅を見てきました。ですから、佐々木さんからお話を聞いたときにはある程度、どんな欠陥があるのかについてはピンときていました。
だからこそ、すぐに傾斜調査とボーリング調査をすることを提案したんです。ちなみに私の研究所の行ったボーリング調査は、ベランダの真下でも、廊下の真下でも採掘が可能な特殊な機械を使用したものです」。
この調査は、以前の調査とはまるで次元の違うものだった。この高い技術を伴った調査のおかげで、杭の直近から磁気反応を得ることができ、相手が認めざるを得ない高精度の測定結果を導き出すことができたのだ。
そして同研究所の調査によって判明したのは、X2Y2で約7m、X4Y1で約4m、杭が支持層に届いていないという事実だった。
「1mや2mならまだしも、7mとは…信じられませんでした。いまでもあの衝撃は忘れられません」。
佐々木さんはこのボーリング調査の結果を販売3社にもすぐ連絡したという。
「今なら、ボーリング箇所を残しているので、納得できなかったらどうぞ調べてくださいと連絡しました。こうして、販売3社もこの数字を直接確認したわけです」。
さらにこのときに岩山氏は建設中にすでに傾きに気がついていたのではないかという疑念を抱く。
「調査をしたところ、梁や床スラブの傾斜だけでなく、アルミサッシや玄関扉の上下枠が梁とともに傾いていました。にもかかわらず、縦枠はほぼ垂直。キッチンのシンクは、排水がうまくいくよう水平に調整をされていました」。
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