妻は「わかった、次は私がやるからGだけは勘弁して」と哀願したのだそう。
しかし、その後も虫に遭遇するたび、妻は戦いを拒否した。
ゲジゲジが窓に張りついていた時はまさに修羅場だったという。
「『女に虫退治してって頼むなんて、情けないと思わないの?』と怒鳴るんですよ。将来パパになった時、子供の前で虫が怖いって泣くわけ? 引くわ』って。引いたのは僕の方なんですけど」
妻はかつて、「男だから得意とか女だから義務とか、そういうのはナンセンス」だと熱く主張していた。
春斗さんは、家事を分担する時ばかりジェンダーフリーに対して理解があるような顔をして、都合が悪くなると「男とは」「男の方が」と言い出す妻を卑怯だと感じた。
「虫が怖くて気持ち悪いと思うのはお互い様なはず。順番に退治しようと決めても、君は約束守ったためしがないじゃんと、僕、我慢できずに怒ったんです」
すると妻はうつむいてこう言ったそうだ。
「だって、実家ではいつも虫退治は男の役目だったよ、と。パパかお兄ちゃんが『よし任せとけ』って感じで助けてくれたと。は?って感じです」
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