高校生の恋愛といえば、甘酸っぱくて爽やかなもの……というのは大人の決めつけだ。
アニメやドラマのようなもどかしくて可愛らしいものも当然あるが、今や、大人顔負けのドロドロ恋愛が、高校生たちの中で繰り広げられている。
「今の高校生は、SNS上で知り合って、そこで何度かDM(ダイレクトメール)をやり取りしてから会うのが普通らしいんです」
そう話すのは、高校で教鞭をとっている沙也加さん(45歳)だ。
「もちろん、そうじゃない子たちもいます。同じクラスのクラスメイト同士で交際をはじめたり、同じ学校の先輩に告白して交際をはじめる子がいたり……。そういう子たちの話は、聞いていてもまあ納得がいくんですけど」
沙也加さんは、SNSで知らない異性と連絡を取っているという子どもたちの話を聞いたときは、まず「危険なのでは?」と思ったそうだ。
「SNSなんて、年齢も性別も偽ることができるわけですし、相手が大人だったらどうするのかと話したんですけど……」
そのへんは子どもたちの方が周到である。SNSの出会いといっても、「友達の友達」くらいの距離感の相手としか連絡は取りあわないし、会うこともないそうだ。
だから、SNSで知り合って交際が上手くいっている間は、さして問題が起きないのだそうだ。
ただ、大人でもそうだが、こじれるのはたいてい「別れ際」だ。
現役教師の沙也加さんが語る。
「私のクラスのA君が、SNSで付きあった、他校に通うBさんと破局したんです。
A君がいうにはお互いに納得行ったうえで別れたらしいんですけど、Bさんが、『A君に傷つけられた』というようなことを頻繁にSNS上で発信するようになって……」
Bさんは、「お嬢様学校」とも称される学校の生徒で、そもそも異性との交際自体が問題視されていたという。破局後に不登校気味になったことで、スクールカウンセラーと面談するようになる。
その結果、A君の担任である沙也加さんのもとに連絡が来たのだ。
「きっかけはBさんのご両親からの連絡でした。娘がA君に傷つけられたと言って心身ともに調子を崩しているので、何があったのかをA君から聞きたいとのことでした。
うちの学校としては、生徒を守る義務があるので、どうすべきか上司とも相談したうえで、まずはA君のお宅に連絡しました」
17歳の男の子としては当然なのだが、A君は自分の恋愛のことなど家族に全く話していなかった。
「本当に驚きました。家では何も言わないので……」
寝耳に水だったA君の保護者は戸惑い、混乱しているようだった。沙也加さんはA君を呼んで話を聞くことにしたが、A君も当たり障りのない話しかせず、真実ははっきりしないままだった。
「仕方がないので、男性教員に話を聞いてもらうことにしました。それでようやくはっきりしたんですけど、A君とBさんの間には肉体関係があったみたいなんです。それで、肉体関係を持ったのに破局したことをBさんは『傷つけられた』と言っているんだろうということでした。ただ……」
ただ……である。真相が明らかになったからといって、お嬢様学校に娘を通わせているような親にありのままを伝えることはできない。
「その頃校内には、SNS上で妊娠を発表してしまったカップルがいて、校外からの批判にさらされていました」
☆次回では、SNSで知り合ったある高校生カップルが妊娠し、両家と学校をも巻き込んだ修羅場を演じたケースを詳報する。現代の若者の恋愛観を知る参考としてほしい☆