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【後編】「女に人権はない」モラハラ夫に悩む専業主婦に訪れた出会いと熟年離婚

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「吐き捨てるように言われて、ハッとしました。私、すごく酷いことを言われているんだと気がついたんです。

それまで見てみぬふりをしてきたんです、ずっと。ひとつひとつに傷ついていたら身が持たないから。でも、その日の私はきちんと傷ついたことを受け入れられたんです。

彼といろんな話をして、救われたのかもしれません。何より、そういう話をできる人がいると知ったことが大きかったのかも」

まりこは夫の一言を何事もなかったように流した。夫はその後もぶつぶつ何かつぶやいていたが、それもすべて聞こえないふりをした。そして、まりこはその日から寝室で寝ることをやめた。

「夫の横にいることが物理的にも精神的にも辛くなってしまったんです。一度傷ついていることを受け入れたら、歯止めが効かなかったというか。自分でもびっくりしているんですが、すぐに就職活動も始めたんです。

図書館で働くには資格が必要だと思っていたんですが、大学の図書館なら資格なしでも事務などの仕事があることがわかって、先日採用が決まりました。来月からは無事に働けそうです。夫にはもちろん反対されていますけど」

まりこは、夫と過ごした20年の月日に感謝しているという。

「こうやって新しくもう一度人生を始めようと思えたのは、やはり家族がいたからだと思います。それに、子どもたちと出会わせてくれたことにも感謝しかありません。

でもこれ以上、見てみぬふりをして生きることは難しいと思うんです。自分に嘘をつくのももううんざり。とにかく今は自立したいと思っています」



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