絵美さんの母は、お向かいの息子のカメラの件がどうしても不安になり、これはやはり警察に相談しても良いのではないかと考え始めた。
「わかりますけど、私の昔の職場で同僚がつきまとい被害に遭って、会社の社長が警察に相談したところ、しばらくの間毎日パトロールしてくれるようになったんです。
今回、もし母が相談して警察がパトロールに来るようなことになったら、ありがたい反面、向かいの息子に逆恨みされそうで」
見るからに闇を抱えた他者。いつ何を恨みに思い、気持ちをこじらせて攻撃に転じるか予想ができないと絵美さんは恐れる。
「娘を守るには、不安の芽をひとつずつ摘むしかないと思うんです。
引っ越してきたばかりで、喜んでくれた母には悪いですが、ここよりは閉鎖的でない、ファミリー層が多い環境で市営住宅などに入れたら...と考えています。
母もそのうち呼び寄せられたらいいかなと思います」
親の高齢化とともに子も年を取り、頼もしい存在となる子もいれば悩みのもととなりかねないケースもある。
社会とうまく関われなくなった子もやがては中高年期に達する。引きこもりや親との関係、生きづらさに悩んでいる方やそのご家庭は、市町村と連携した厚労省の取り組み「ひきこもり支援推進事業」も参考にしてみていただきたい。
*この記事は取材に基づくものですが取材対象者や登場人物のプライバシー保護の観点から構成・編集に配慮しております。
取材/文 中小林亜紀
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