「のちに分かったのですが、ヨシオ氏は25歳を過ぎた男性には興味が失せるようです。
僕はやっと彼から解放されたのですが、同時に仕事は激減しました。自分でも売りこみをしましたが、業界に噂が立ってしまって……マネージャーも新人の育成に力を注ぎ、僕を売ろうとはしなくなった。完全に見捨てられたんです」
その後、ケントさんは芸能事務所を辞め、様々なバイトをやった。運送業や清掃、飲食店、コンビニ――しかし、中途半端に顔が売れたため「終わった人」的なレッテルを貼られてしまい、どこも居心地が悪かったという。
恋人ができた時期もあったが、トラウマのせいか、ベッドではまったく反応しないという不幸に見舞われた。38歳となった今、彼は母とともに親戚の工場で働いている。
「性被害の告発を知って、何度も『あの時、僕も声をあげていれば』と悔やみました。児童や青少年の性被害を無くすためにも、生き証人となった僕が、何かの形で被害を訴える機会をうかがっています」
人生を狂わされた彼の心の叫びが、世に届くことを祈りたい。
取材・文 蒼井凜花
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