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大豪雨なのに集団登校なんて、まるで軍隊…豪雨で見えた「学校現場の命に関わるナンセンスルール」

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日本列島の広範囲にわたって線状降水帯が幾度となく発生し、浸水や土砂災害などの大規模被害をもたらしている。被災された方々のご苦労ご心痛は想像に余りあるもので、一日でも早く復旧されることを祈るばかりだ。

今回は今後の教訓を得るため、愛知県内で被害が大きかった地域にお住まいのお二人MさんとKさんに、小中学校の対応に関するお話を聞いた。

今回は前々から災害級の雨となることが大きく報じられていたわけだが、Mさんはお孫さんの小学校が、Kさんはお子さんの中学校がそんな状況下でも休校とならなかったことに対し、大きな疑問を感じている。

「大雨の前日から、”災害級の雨だ””備えをしておけ”とニュースで言っていたので、私もお水や食糧を買い込んだり、家のまわりの物を片付けたりしておいたんです。

うちは娘夫婦が朝早くから仕事なので、私が孫の世話をしているんですが、今回の大雨については小学校から前日にメールを受け取りました。明日は午後から雨がひどいようなので、午後の授業はとりやめて下校させますと」

災害級の雨なのに孫を登校させるのか、午後からひどくなる予報なら午前から備えるべきではないのか、と戸惑いを覚えたMさん。

しかし、最近は「何十年に一度の〇〇」という予報があっても、フタを開けてみたら想像よりも大したことはなかったというケースが多かったので、油断もあったという。

「学校が言ってきたことに従う、という癖がついているというのもあると思います。その姿勢がいけないわけじゃないけど、こんなふうに危険が迫っている場合は、もっと主体的に”いや、うちは休ませます”と私が言っても良かったんですよね」

Mさんはそう自分を責めた。

「結局、今回の雨は私たちの想像を上回るひどさでした。私が子どもの頃は、うちの辺りはよく冠水していたんですよ。それ以前の私の親世代はもっとひどくて、どの家も水害に備えて小舟を常備していたという話も伝え聞いています。ですが、何十年とそんな被害もなく、水害対策に力を入れてきた成果もあるのかしらと高をくくっていましたね」

Mさんのお孫さんは、おばあちゃん思いの優しい子だという。学校から「今回は保護者が迎えに来ても良い」という知らせが来たため、「おばあちゃんが迎えに行ってあげる」と申し出たものの、お孫さんは「歩いて帰るからお家にいて!」と答えたのだそう。

「ですが、後で聞いた話では、多くのお子さんがお迎えで帰ったとのことです。うちの孫たちは通学班担当の先生が付き添ってくれたとはいえ、かなりの少人数で帰ってきました。途中でもし何かあったら、先生お一人でも子どもたちを守り切れるかどうかわかりませんよね」

Mさんは、市から示されている休校に関する従来のガイドラインを、今すぐに見直す必要を強く感じている。

「最近は天気の予想がつきづらく、深刻な事態になることも多いんですから、予報が出たら結果はどうあれ、早めに休校を決めるべきではないでしょうか。

市では大雨警報では原則通常どおりに登校となっていて、無条件に休校となるのは暴風か暴風雨警報が出た時のみです。最近の雨の降り方を見てれば、こんなルールはすぐに見直さなければダメですよね」

Mさんは、自分たちで判断すべきだったという自戒の念も持ちつつ、そう語ってくれた。

確かに昨今の異常気象から考えれば、該当する警報が発令された時のみの休校措置では危険を回避できない場合もあろう。今回の被害を教訓に、早急な見直しが求められる。


今回お話を伺った2人目のKさんは、愛知県内にお住まいの会社員。居住地域には床上浸水の被害も多数出たという。

「こんなひどい雨は生まれて初めて経験しました。激しい雨がまったくゆるむことなく長時間続いて、まさに命の危険を肌で感じましたね」

しかし、Kさんは夫ともども今回の豪雨でも仕事を休むことはできなかった。子どもが通う中学も休校とはならず、部活のみ取りやめとなる旨、事前に学校から連絡があったそうだ。

「その報告も二転三転したんです。前日までは部活もやると聞いていました。それで豪雨当日に部活中止が決まり、下校時間が変更されたんです」

被害が拡大した当日は、朝早くから雨がひどかった。後で友人から聞いた話では、子どもを送ってきた保護者の車両で、中学校付近も大渋滞していたらしい。

「雨で視界が悪いなか大渋滞なんて危ないし、うちみたいに親がもう出勤しちゃって送れない子はズブ濡れで登校するんですよ。そもそも不公平ですよね。そんな不公平な登校となること自体、公立中学ではあってはならないのではないでしょうか」

しかし、Kさんがもっと問題視しているのは、休校措置が取られなかったことだという。

「うちのあたりは避難指示が出たんです。私の職場でも帰宅命令が出ましたが、それよりも前に子どもの中学からまたメールが入って、やっぱり下校時刻を早めると言ってきたんです」

そもそも仕事中にメールをよこされても、見られないことの方が多い。緊急連絡が必要な状況などは、可能な限り避けるべきだとKさんは思う。

「下校時間が何度も変更になったうえ、”迎えに来たい保護者は来てください”って。めちゃくちゃじゃないですか?」

Kさんの憤りはさらに熱を帯びる。それは、避難指示が出ている最中に、学校が通常通りの下校をさせたからだ。衝撃の後編に続く。

取材・文 中小林亜紀



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