【後編】塾信仰の子どもたちと学校の軋轢…「ホストクラブ塾」に不安視の声も。

「今、結構多いんです。塾でバイトしている学生さんと塾に通う生徒さんが良くない関係になっているのではないかと保護者の方が訴えかけてくるケース。学校のように倫理的な規定などがないからですかねえ。いつかは大きな問題になるのではないかと塾業界全体が懸念している状況です」

そう話すのは、前出の穂乃果さんだ。彼女は大手学習塾で広報を行うためのマーケティングを欠かさないが、塾が多様化して増加したことでまた、塾にまつわる問題も増えていると感じているそうだ。

「参考書などもかなりたくさん出版している予備校講師が、同僚女性にストーカー行為などを働いて逮捕されるという事件がありましたが、それでもなお、その予備校講師の参考書は売れ続けているし、その方が過去に配信した授業は人気があります。
教育者として塾講師と言う職業についている人もいれば、たくさんの生徒を集めることができればそれでいい、自分の担当した生徒がたくさん有名大学に入ればいいというような発想の人もいるので、今後の塾業界は荒れ放題になる可能性もあって……懸念と不安はなくなりませんね。本当は、学校との共生が上手くいかないかとも考えたのですが、これまでの塾の在り方が『学校との対立項目』という感じなので、それも難しいんですよね。これからはどうなっていくのか……」

長期的なものの見方をする穂乃果さんのため息はどこか、塾信仰の強い生徒について憂えている美香さんのため息にとてもよく似ていた。

取材・文　八幡那由多