「『息子が貰った嫁の意地が悪くて困る。私が孫に買ってやる物や食べさせてやる物にいちいち文句を言い、孫にはジイジから食べ物を貰ってはいけないとご指導される徹底ぶり。孫と趣味だけが生きがいの私をいびって何が楽しいのか』とありました」
自らのケータイに保存しておいた文面を読み上げ、真奈美は深いため息をついた。
「別の日には、こんなふうに更新しています。『わが息子の鬼嫁は、ついに孫に与えるおやつの種類と量を指定してきた。おやつ1回でりんご半分とキウイ半分とな。わが孫はチビ猿か? それならば鬼嫁はボス猿ですな』と」
孫が美味しそうにアイスクリームを頬張る姿を見たり、好きなお菓子を選んで買ってやったりすることの喜びといったらない。舅はSNS上でそのように心情を吐露する日もあった。
「色々なものに同時多発的に襲われた感覚で、どこから突っ込みを入れたらいいのかわかりませんでした。とりあえず、無断で写真をアップするのはすぐにやめてもらいたかったので、お義姉さんにお願いして、これは良くないと舅に言ってもらうことにしたんです」
問題はおやつの方だった。
息子の体重が突然増えたことを気に病んで、言い方に気をつけながらお願いしたつもりだったが、SNS上とはいえ、自分は人目のあるところで舅の老後の楽しみを奪う「鬼嫁」と呼ばれていたのだ。真奈美はひどく落ち込んでしまった。
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