【あらすじ】専業主婦の木野内祥子さんは、夫が不倫を繰り返していることで悩んでいた。
夫の不倫相手は、絵画クラブのベテラン会員で、祥子さんが趣味で習っていた絵画クラブに入っていた人物。窮した祥子さんはあろうことか11歳の長女に相談。すると、長女はリビングで真っ向から夫を糾弾し始めたのだが・・・
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「タジタジの夫に対して、娘はぐいぐい攻め込んでいきました。ママが毎日泣いていてかわいそうだから、離婚するならお金を全部置いて出ていってほしいし、そうしないなら、今すぐその”おばさん”に電話をかけてさようならと言わなければならない、と。離婚するなら、私はパパとは一生会わないし、結婚する時も一緒に歩かせてあげない、とも言いました。私は悲しさも忘れてあんぐりとしてしまいました......」
一番の「ウィークポイント」である娘に責め立てられた夫はすぐに白旗を揚げた。さすがに娘の前で愛人に電話をすることはできず、寝室で電話をかけてきたと言い、祥子さんと娘の目の前で電話番号を消してみせたという。

「それできれいさっぱりとなるかどうかは疑問でしたが、しばらくは大人しくなるだろうという感じはありましたね。娘に助けられました。私は娘を『あなたは賢い、しっかり者だ』と讃えましたし、それをきっかけにして彼女は、もともとの正義感・責任感の強さをますます強めていったように思います」
母親に感謝され褒められた娘は、その後、母親の予想どおりに学級長や生徒会役員を務めるようなリーダータイプの子に育った。いじめられているクラスメイトを身を挺して守り、学校から讃辞を受けたこともあるそうだ。
「曲がったことが大嫌いな娘で、本当に頼りになる子です。ですが、9年経ってまた夫が同じ女と不倫していることがわかった時の娘の反応は、予想に反してとても冷たいものでした」
そもそも、祥子さんの夫が9年越しに同じ人と浮気していることを知ったシチュエーションとは、どのようなものだったのだろうか。