「まあ、相手は高校生だからさあ、そのうち飽きるよ。やっぱ同級生の子がいいとか、他校の子に告られたとかしてさあ」
こう言うのだ。
「私の周りの人は、きっとすぐそういうのは終わるからって言いました。だから私はそれを信じていたのに、『ふざけないで!』と怒鳴ったあとも例の男子生徒はずっと私のプライバシーを詮索してきたり、頻繁に英語の質問に来たりはしていました。彼のそんな態度が長く続いたので、周りの反応が微妙に変わってきて……。それがまた、私を苦しめました」
陽菜さんの話によると、執拗に連絡先を尋ねてくるその生徒は、教員の間でも「いい子」だとか「イケメン」だと言われるような生徒だったらしい。
そんな子が陽菜さんの後ばかり追いまわすのだから、女子生徒は黙っていない。教員たちも、陽菜さんが男子高校生を惑わせている、というような冗談を口にするようになった。
「耐えがたかったです。そんな状況は。冗談でもそんなことは言われたくなかったし、女子生徒にも反感を抱かれたくなかった。でも、気が付いたら、教員二年目にはそんな状況でした。
男子生徒の方は、みんなの前で連絡先を聞いたり、私を褒めたりするようなことはやめて、英語の質問に毎日のように来るようになったんです。」
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