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LIFESTYLE 女たちの事件簿

「先生、卒業したら彼女になって」教え子の男子高生に好意を寄せられて苦悩。漫画とは違いすぎる「教師×生徒」の現実とは。

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不倫や浮気、DVにプチ風俗……。妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちが密かに抱えている秘密とは? 夫やパートナーはもちろん、ごく近しい知人のみしか知らない、女たちの「裏の顔」をリサーチ。ほら、いまあなたの隣にいる女性も、もしかしたら……。

先生と生徒の禁断の恋愛というテーマは、今もなお根強い人気を持ち、飽きることなくドラマや映画で取り上げられる。「禁断」でありなかなか簡単にはハッピーエンドを迎えられないところが人気の理由なのだろうか。

今回話を聞いたのは、そんな禁断の愛に身をゆだねた教員……ではなく、生徒に好意を向けられたことで苦境に陥ってしまった女性教員だ。

男性教員が女子生徒と、という話はよく聞くが、女性教員が男子生徒と、という話はあまり聞かない。なぜだろうか。

「それは、男子高校生なんて圧倒的に子どもだからだと私は思います。『大人』とは絶対に思えない。身体がどんなに大きくても中身は幼いですもの。恋愛対象になんてなりませんよ。これってきっと、私だけじゃなくて、どの女性教員も同じ意見ですよ。以前話題になった中学生が女性教員となんてドラマを見て、教員をしている女性たちがみんな、ありえないって言っていましたから。大学生や大人になってから再会しても、高校生の頃を知っているので、もちろん恋愛対象にはなりません」

そう言ってコーヒーカップを指先でコンとはじいたのは、昨年教員を退職してしまった陽菜さん(仮名・25歳)。彼女が教員を勤めたのはたった2年間。その期間に彼女を襲ったのは、男子生徒から好意を寄せられるという想像もしなかった状況だ。

「誰に相談しても、『えー、何それいいなー。自慢?』とか『若い子にモテるって最高じゃない。私も高校の先生になればよかったー』とか言われて……。深刻にとらえてもらえることは一度もありませんでした」

陽菜さんは大学卒業後すぐに、いわゆる進学校と言われる私立の高校に勤務することとなった。

「学校の先生って研修期間が全くなくて、赴任が決まった3日後とかにはすぐもう授業をしないといけないので、右も左もわからないままに授業が始まるんです。不安だらけで生徒に接したことを覚えています」

そう言いながら髪をかき上げてため息をつく陽菜さんは、生徒たちに歓迎されたという。

「年が近いということと、私が不安げに見えたからか、親切にしてくれる生徒たちがたくさんいました。担当した子どもたちが高校2年生だったということもあって、『私たちの方が先輩だから、教室の場所とか教えてあげるよー』なんて言ってもらえて、心の底から嬉しくなりました。ただ、初対面のときから『せんせー、連絡先教えてー』と言ってくる男子生徒がいたことには面食らいました。周りの子が『お前、やめろってー! 先生狙ってんじゃねーよ』とかなんとか言ってくれたのでその場はおさまったのですが、対応の仕方がわからなくて……」

次も同じことを言われたらどうしよう……という不安に駆られた陽菜さんは、すぐに、自分よりも年配の女性教員に相談したそうだ。

「でも、『若い先生みんなに同じこと言ってるのよ、あの子。気にしなくていいから。ほおっておけば大丈夫よ。』と言われてしまいました」

しかし、陽菜さんが授業に行くたびに同じ質問が繰り返された。さらに、始めは止めてくれていた生徒たちが面白がって、連絡先を知りたがる生徒と陽菜さんを冷やかすようになった。

「改めて申し上げるのもなんですけど、私はその男子生徒のことを全く何とも思っていませんでした。生徒ですから、どうこうしようなんて気になるはずがないですよね? それにあの頃の私は、新人教員でそれどころじゃなかった。でもまあ、それを理解してもらえませんでした」

そうつぶやく陽菜さんは、実は、あまり恋愛経験が豊富ではなかった。女子高に通い女子大を卒業した彼女は、そもそも異性ともあまり接してきていない。

色白で髪が長くはかなげな陽菜さんは、友達に誘われてコンパなどに行くと連絡先を聞かれることが多かったという。でも、彼女の周りにはいつだって彼女を守ってくれる女友達がいた。陽菜さんが連絡先を伝えたくない相手には、そんな女友達たちがやんわり断りを入れてくれたのだ。

「友達に守ってもらってばかりいたのではいけないことはわかっていました。しかも、これは仕事。だからちゃんと自分で言わないと、とは思いましたけど、なんていえば良いかも思いつけなくて……。

でも、授業に行くたびに『先生、そろそろ連絡先教えてくれるよねー?』なんて聞いてくる男子生徒を目の前にすると言葉が出てこなくて、黙って授業をはじめることが続きました。ただ、夏休み前に『夏休み中一緒に遊びに行こうよ。』と言われたときは、『ふざけないで!』って怒鳴って職員室に戻りました。このままじゃいけないと思ったんです」

思い描いていた教員生活とは全く違う日々に、陽菜さんは大きなストレスを感じるようになっていた。

彼女が理想としていたのは、高校生時代に英語を教えてくれていた、落ち着いた雰囲気の年配の女性教員だった。プライベートなことは全く話さず、英国の美しい習慣やしきたり、そして英語だからこそ味わい深くなる何篇かの詩を教えてくれた。

周りの生徒がその女性教員のプライベートを詮索することもなかったし、妙に親しくなろうとすることもなかった。陽菜さんは、彼女のような教員になりたかったのだ。だから、引っ込み思案なのに努力を重ね、試験や面接もクリアして、晴れて教員になった。なのに、だ。

「どうして?って何度も思いました。どうして授業内容に興味を持たずに、どうでもいい私のプライベートに興味を持ったり、私自身の何かに踏み込もうとしてくるんだろう。そう考え始めるともう、その生徒のいる教室に行くのすら嫌でした。それでも、どうにか頑張っていたんですが……」

悩み落ち込む陽菜さんを待っていたのは、周囲が理解してくれないという苦境だった。



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