高齢化の一途を加速度的に辿っている日本社会。そのインフラとしてなくてはならないのが、介護施設だ。介護士の低賃金問題や施設での傷害事件などがメディアで報じられることもある。今回話を聞いたのは、そんな介護施設に勤めるある女性の話だ。
※この記事は取材を元に構成していますが、個人のプライバシーに配慮し、一部内容を変更しています。あらかじめご了承ください。
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佐野マユミ(仮名)は36歳。関東地方にある政令指定都市の介護施設でパートをしながら、夫とともに小学生の子どもを育てている。
高校を卒業後、介護士の専門学校に進み、在学中から介護施設でバイト。そして、卒業と同時にその介護施設で正社員になった。
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夫のタカアキ(仮名)はマユミの職場の後輩として入社。マユミとは同い年だが、タカアキは大学の介護福祉コースを卒業した、介護士としてはいわばエリートだった。
それを鼻にかけることなく熱心に働く姿に、マユミは惚れこんだ。
タカアキとは食事に行く関係から始まり、そして交際がスタート。数年間交際が続き、事実婚でもいいと思っていた二人が結婚した理由は、いわゆる“授かり婚”だった。
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「妊娠を機に私は仕事を辞めました。でも、介護士は仕事内容のわりに本当に薄給。大卒の夫ですら、手取りは20万ほど。これではとても子どもの教育費には足りないと焦り、育児が落ち着いたタイミングで、いまの介護施設でパートを始めたんです」
その介護施設に入った時、マユミの頭をよぎったのが、「逆ハーレム」という言葉だった。
「管理者も女性ですし、正社員もパートも女性ばかり。男性は管理者が気に入ったごく一部の人しか採用されないんです。そして、管理者がその男性を“食べちゃう”システムなんですよね……」
後編に続く。
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