それでも無事、講義を終えた。スタッフが「蒼井凜花さんの本をお持ちで、サインをご希望の方は並んでください」と言う列にタクミが並んだ。
(うそでしょう……?)
この期に及んで、まだ筆者に接触を図ろうというのか。もし、何か言われたらどうしよう。イヤな汗が吹き出し、心臓が高鳴った。
列に並んだ受講者が10名ほど過ぎたくらいだろうか、ついにタクミと対面した。筆者は頬を引きつらせながらも、精いっぱいの笑顔を見せた。
「本日はご受講ありがとうございました。本もご購入下さり感謝いたします」
筆者の対応に、タクミは丁寧に一礼し、「ありがとうございました。勉強になりました」とサイン本を受け取り、去っていたのである。
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