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LIFESTYLE 女たちの事件簿

「今年も先生が担任ですか?」春はモンペが大暴れ…現役教師が語る「憂鬱すぎる新学期の恐るべき実態」

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夏休み明けに学校に行くのが嫌になる子どもたちがいるという話はよく聞く。嫌だという気持ちが高まりすぎて命を絶ってしまう子どもが一番多いのも夏休み明けの9月1日である。

©Getty Images

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しかし、その日に匹敵するほどに危険な日があると話すのが、現職の高校教員である夏子さん(仮名)39歳だ。

「新学期が始まるという4月10日前後から腹痛や頭痛を訴えるようになる子どもたちは、少なくはありません。保護者の方々から心配して連絡が入る場合もありますし、本人が連絡してくることもあります。多くは新しいクラスの編成に不安を抱いていたり、担任や教科担当の教員が自分の合わない先生だったらどうしようかなどと悩んだりして体調を崩していくので、『考えすぎないように』とか『はじまってみないとわからないから』などと伝えるのですが、その『わからない』という状況が彼らにとっては苦痛なのでしょうね。

中学生や小学生がそう言った状況になるという話はよく聞いていたのですが、高校生でも同じ状況に陥るという事実は、私にとっては驚きでした」

そう話す夏子さんが昨年担任していたクラスの生徒が一人、『来年も先生が担任ですか?』と学校に電話をしてきた。

その生徒はスクールカウンセラーに月に1、2度カウンセリングをしてもらっているかなり繊細なタイプの女子生徒で、夏子さんは彼女の担任になってから1年の間に、スクールカウンセラーにも相談しつつ、彼女との距離の取り方や彼女への言葉のかけ方に配慮を行ってきたのだ。

その努力が実を結んだというか、夏子さんの配慮が彼女の心に届いたのか、その女子生徒は夏子さんにもぽつぽつと自分の希望している進路などについて小さな声で話すようになったのだ。

「信頼……とまではいかないのですが、『この人は自分に対して嫌なことをしたりデリカシーのない対応をしたりすることはない。』と思ってくれるようにはなったと考えています。そして、彼女のように繊細な子どもが新しい環境を嫌がることも十分に理解はしているのですが……」

夏子さんの口調は重くなった。学校というのは、たった一人の子どもを中心に回っているわけではない。さまざまな思惑があり、繊細な女子生徒以外にも注意を払わなければいけない生徒がいるし、教員間の関係性なども次年度の教員配置には影響が出てくるのだ。

「私は自分が次年度の彼女の担任ではなくなってしまうことを、彼女が電話をかけてきた4月3日の段階では実はもう知っていました。

でも、そんなことを彼女にだけ伝えるわけにはいかないので、『まだわからないのよ』と答えたのですが、繊細な彼女はそこからやはり良くない方へと想像を繰り広げてしまったようで、4月10日の始業式は欠席でした。

新しく彼女の担任になった教員は、昨年度彼女が一番得意な英語の教科担当だったので、私から彼女に電話をしてしばらく話をして、その後新しい担任に電話を代わるという形をとったので、新しい担任教員ともどうにかこうにか話はしたみたいです。

『別に担任じゃなくなっても私は同じ学校の中にいるから、話がしたくなったらいつでもいらっしゃい』とは伝えましたけど、その生徒のように繊細な子は異常なほどに気をつかうので、『先生には新しく担任する生徒がいて、その人たちの面倒を見ないといけないから、私のことは迷惑になると思うので……』と言っていました。

そんなことはないと何度も伝えましたけど、始業式の翌日も欠席していたので心配です。新しく彼女の担任になった教員とスクールカウンセラーの先生と相談をしながら、その生徒には関わり続けていくつもりですが……」

夏子さんには当然、他の仕事もある。繊細過ぎる女子高生が気にしているように、彼女には新しく担任することになった生徒たちがいるのだ。しかも1年生。

「新入生の担任をすることになると、ゴールデンウィークが終わるまではさまざまな行事や行わなければならない手続きが目白押しで、教員の作業もかなり多くなります。しかも、そんな中でもはじめて高校生になった子どもたちに安心感を与えつつ規律やルールも教えなければいけないので、かなり体力を使う時期です」

そう話す夏子さんが一番好まない仕事が『地毛証明書』についての説明だ。

「校則として『髪を染めるのは禁止』ということになっているので、元々の髪の色が明るい子には『地毛証明書』というものを提出してもらいます。この書類については各学校によって名称は違うでしょうし、廃止にしてしまった学校もあるようです。こういう書類について説明する場合はかなり言葉に気を付けないと『どうして髪を染めてはいけないのか』というようなそもそも論になるので、ルールを守ることの重要性なんかを説きながら説明するのですが、最近は親御さんがOKを出した上で髪を染めている子がいるので、お子さんを注意すると親御さんがお怒りになって学校にいらっしゃったりするので、話がややこしくなるんです」

そう言って夏子さんは深いため息をついた。彼女が今年度担任をすることになったクラスにはA君という男子生徒がいて、その子はかなり明るい茶髪だった。しかも、根元の毛は染めてからしばらく時間がたっているのかかなり黒い。

「私が若い時はそういう髪型の状態を『プリン』って呼んでいたのですけど、今の子はあまりそういう感覚はないのでしょうかね。堂々とその根元のクロが伸びた状態で、『俺、地毛だから地毛証明書出すわー』って周囲の子たちに話をしていて、周囲の子たちは『おまえ、それは無理だってー』とかなんとか言っていました。

周りの友達にもあんな風に言われていたし、諦めるかなあと思っていたら、翌日本当に『地毛証明書』を持ってきたので『あなた、地毛は黒でしょ?地毛証明書って言うのは髪を染めていると勘違いされそうな髪の色の場合に持ってくる書類だから、あなたは提出しなくていいのよ。』ってやんわり注意して、証明書を持って帰らせました。本人は、意外とあっさりしていて、『へー、やっぱだめかー。行けるかと思ったけどなー』と言いながら書類を引っ込めて、周りの子たちに冷やかされていて、ほっと胸をなでおろしたのですが……」

一度安心した夏子さんにこのあと、あまりにも常識から外れたモンスターペアレントが襲い掛かる。新学期は実は、モンスターペアレントが大暴れする時期でもあるのだ。

クラス編成にまで口を出すモンペに疲弊する現場からの報告は、次回記事で詳細にレポートする。反面教師として読み進めてほしい。

ライター 八幡那由多  

▶︎後編に続く


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