それでも、キヨミの失踪前に交流があった、唯一の人物かもしれない。そこで我々は管理人の許可を得て、キヨミが元住んでいた茨城県のマンションに直接足を運んだ。
管理人同伴のもと、キヨミの相談相手だったという「木村」宅を訪ねると、中から60代後半の男性がよれよれの肌着姿で顔を出した。我々が事情を説明し、「若林キヨミの現在の居住先を知らないか」と、木村氏に尋ねる。
「遠くにはいってない。引っ越すとき手伝ったので知ってるけど、教えるわけにいかない!」
声を荒げて、バタンと扉を閉めてしまった。しかしここで諦めるわけにはいかない。
「明日また、お伺いします!」
ドアの外から、大きく呼びかけて、その日はその場を去った。
翌日、我々はもう一度木村氏を訪ねた。インターフォンを鳴らすと、意外にも木村氏はすぐにドアを開けた。この日はちゃんとYシャツとチノパン姿で。
「キヨミさんの住所をはっきり教えてくれなくていいんです。この地図上でいったら、どのあたりでしょうか? それだけ教えていただけませんか?」
私がマンションのある町の地図を差し出すと、木村氏は黙って地図上のある1点を指差した。
RANKING
2
3
5
1
2