その後早速木村氏が指差した地図上の場所周辺にある「若林」という全ての家を訪問した。該当がなかったものの、とにかく辺りの家という家をすべて訪問し、聞き込み調査を実施した。
数時間後、「田村」という、ある1軒の家にたどり着いた。インターフォンを鳴らすと、40代の女性が玄関先に出て対応した。
「若林キヨミさん……だと思いますよ、うちの裏に住んでいる方。年は50代くらいだと思うけど。昔はね、敷地内のそこの小さな小屋で、たこ焼き屋をやってたみたい。私が越して来た時は、もう閉めちゃってましたけど。最近はね、若林さん週に1回ほどしか帰ってこないのよ。体を少し悪くされたみたいで。平日は市立病院に通うために、病院から近い娘さんの家で過ごしているって言ってましたよ」
©Getty Images
田村家の裏側には、敷地内に平屋建ての一軒家と、小さな白い小屋が建っていた。キヨミの推定年齢とも合致している。興奮する気持ちを抑えつつも女性に尋ねる。
「キヨミさんは、何曜日に帰って来られるかご存じですか?」
「それが、はっきり決まってないみたいで。帰って来ると2日くらい泊って、色々用事をしているみたい」
「キヨミさんが帰って来られたって、どうやってわかるのですか?」
私が尋ねると、女性は答えた。
「ピンクに黒い線が入った、ちょっと変わった車に乗っているし。すぐ裏だから、音でわかるんです」
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