世の中が不安定になると、占いや宗教が流行するという。
新型コロナウイルス流行以降、占い市場が活況している。占いを含むスピリチュアルビジネスの市場規模は、約1兆円だという。家計支出消費額の総額が約280.5兆円と考えると、その比重は大きいようにも感じる。
今回取り上げるのは、占いにのめり込んだ不貞妻の借金を背負った男性だ。
「年間280万円くらい、生活費がかかっている家があるとすると、そのうちのうちの1万円が占いとかスピにかけているわけでしょ? 僕はゼロでもいいくらいです。僕は元妻の姿を見てから、目に見えないものを一切信じなくなりました」
そう語るのは、2年の別居を経て1年前に離婚したばかりの山際洋二さん(仮名・47歳)。大手メーカーの部長職であり、16歳の息子を育てるシングルファザーでもある。会社名と肩書から判断すると、年収1500万円といったところだろう。
しかし、洋二さんは1年前には1000万円の借金を抱えていた。住んでいたタワマンを売却し、その返済に充てたという。
「別に家を売らなくてもよかったんだけれど、住宅ローン以外の借金がある、というスッキリしない状況が嫌だったんです。今はスッキリしているし、穏やかに息子との生活を続けている。結婚している間、妻の不始末にハラハラしていましたから」
30歳で結婚した洋二さん。元妻の芳美は2歳年下で、出会ったとき洋二さんは正社員、芳美は派遣社員だった。
芳美は愛嬌があり、「お嫁さんになりたい」というタイプ。支持された仕事はするものの、時間がかかって量がこなせない。仕事の比重を重くすると、体調不良になってしまっていたという。
そんな芳美から熱心なアプローチを受けた洋二さんは、彼女の妊娠を機に結婚。
「結婚式の帰りに、担当役員から『山際君が捕まったのか』と言われた意味が、今なら分かります。父からも、『オマエがああいう人を選ぶとは意外だった』と言われていました。僕は5歳のときに母が亡くなり、祖母と父に育てられたので、どこか母性を求めていたところもあるのかもしれません」
新婚生活は楽しかった。明かりがついている家に帰宅し、「お帰り」と迎えられる。花が飾られた玄関、キッチンから漂う総菜の匂い、朝の温かいみそ汁。どれも初めての経験だった。
しかし、芳美にはとんでもない浪費癖があった。
「毎月、12万円の生活費を渡していました。光熱費や住居費は僕持ちですし、ミルクや紙おむつなどのベビー用品は、週末に一緒にまとめ買いしていたので、12万円の使い道は、せいぜい食費と雑費なんですが……」
12万円は、10日ほどでなくなってしまう。やりくりをしてほしいと言ったら、「友達とランチをするにも5000円はかかる」とキレられる。生活費の増額を要求する芳美と、それを咎める洋二さんの仲は冷え込むばかりだった。
洋二さんは居心地の悪さから仕事にのめり込んだ。芳美は息子が6歳になった頃、派遣社員として仕事を再開した。しかも、その派遣先で、若い社員と不倫していたという。
不倫がバレた芳美は、3年前に一人で家を出て行った。洋二さんの、使っていないクレジットカードとともに。
「彼女が出て行った後、口座のお金の減り方が激しいと思って明細を確認してみたんです。そうしたら、使わないカード会社から毎月多額の引き落としがされていました。カード会社に連絡しようにもカードが手元にない。最初、見知らぬ第三者が盗んだと思い、慌てて連絡したら、使っていたのが別居中の妻と分かったんです。大事な老後資金がと、全身から血の気が引きました」
しかも、芳美は洋二さんのクレジットカードで借金を作っていた。借金の大半は、電話占いの費用だったという。
夫のクレジットカードを使い込んでいた芳美。その借金は、莫大な額に膨れ上がっていた。
☆次回、占いにハマり夫をも地獄に突き落とした不貞妻の、さらにヤバすぎる実態が明らかに...そしてその末路を詳報する。
Text:沢木文