では上手に作れなかったときは?と聞くと高子の顔がこわばった。高子は上手に作れない息子のことを詰ることがあったのだ。男性教師は、息子が問題を起こすのは大抵ブロックゾーンにいるときだったと話した。ブロックを決められた形にしなくては怒られるという強迫観念が、必要なパーツを人から奪い取るという行動に繋がったのかもしれないと言った。
「息子にはこれまでおもちゃでも食べ物でも欲しいと思うものをできる限り、買い与えてきました。特にブロックは大好きだったのでとにかくたくさん持っていました。それがこんなことになるなんて……」
男性教師はものを際限なく買い与えることが愛ではないこと、ある程度、距離を取り息子が自由に遊べるように見守ること、そして今日何があったの?とか、なんでお友達に意地悪をしちゃったの?とか、聞くことから会話を始めてくださいと高子を諭すように伝えた。
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