国立感染症研究所や東京都感染症情報センターの最新調査によると、2022年〜2023年で性感染症の梅毒感染者が急増しているという。梅毒は性風俗を介して感染するケースがほとんどだが、なぜ性感染症がいま急増しているのか。
その理由は、リスクの高い性風俗サービスの拡大に答えがあるという。実際に梅毒患者の約4割が性風俗産業を利用したり、従事歴のある者だという。
今回紹介する、高橋早苗(仮名・36歳)もその一人だ。早苗は2020年の夏から性風俗店で働いており、2022年末に医療機関で梅毒と診断された。

早苗は10年前に結婚し、現在は9歳の子どもと2歳年下の夫と三人で暮らしている。
子どもが小学校に入ってからは、自由な時間も増えたはずなのだが、夫の職場はここ数年の不況によって収入が激減。現在は全盛期の3分の2にまで稼ぎは減ってしまった。
最悪なことに、早苗達は3年前に約3,800万円もの住宅ローンを組んでマイホームを購入しており、多額の借金を抱えている状態だ。
そのため早苗は少しでも家計の足しになるよう外で働きたいと思ったのだが、丁度「ステイホーム」が叫ばれ始めた頃でタイミングも悪く、パート等で働く場所も機会もほとんどなかった。
「しかも、夫がリモートワークで自宅にいる時間が増え、なかなか始めることができなくて……」
そんな早苗が昼間に始めたのが、主婦が多く在籍する人妻系の風俗店だった。
キッカケは、街角を走っている風俗情報誌の呼び込みで「高収入・安全」というキーワードで心が動いてしまったのだ。とはいえ、自宅近くで働くのは身バレの可能性があるため、早苗はわざわざ1時間ほどかけて、郊外の風俗店で働くことにしたという。
「意外に思われるかもしれませんが、風俗店で働くのにためらいはありませんでした」
早苗が働く店舗では、早苗と同年代の主婦が多く在籍していて、「私だけじゃない」という安心感を感じたという。
セクシーなランジェリー姿で待機するということ以外は、いたって普通の職場と同じように世間話をしたり、休憩時には菓子を食べたりするなど、アットホームな雰囲気で和んでいたという。
そんな早苗が、自らの身体の異変に気が付いたのは去年の12月上旬だった。
いつも通り「業務」を行っていたのだが、潤滑剤を塗っても性交時に鈍い痛みを覚えるようになった。また、腹部に赤い発疹が出ている。
「店長に報告し、すぐに紹介してもらった医療機関で診てもらいました」
診断結果は梅毒だった。感染源は分からないが、結果的に早苗の勤める店舗では5人の梅毒患者が出たという。当然のことながら、お店のお客にうつされた可能性が高い。
「夫に風俗店で働いていることは内緒にしていたのですが、彼にも私と同じような症状が出てしまい、結局、風俗店で働いていることがバレてしまったんです……」
☆次回、早苗の行動はどんどんエスカレートしていく。反面教師として読み進めてほしい☆
ライター 葉月栞