「最悪だったのは一番つわりがひどかった妊娠5か月頃、ダンナの両親がうちに遊びに来た日です。義母は自分が妊娠した時、つわりがなかったらしいんです。だから、ダンナと同じでつわり自体を疑っているんですよ。生理痛も軽かったとかで、あんなもの、サボりたい女のでっちあげだと思うと言い出したんです。あきれて物が言えません」
栄養を摂らせてやりたいと言って、義両親はうな重を持参してくれたのだそうだが、沙也子がつわりで食べられないと知ると、義母は表情をかたくした。あなたじゃなくて孫のために買ってきたのよ、と言って不機嫌になったという。
「ダンナはどうやら、私がつわりでぶっ倒れていて、仕事も家事も何もしないとお義母さんに告げ口したようなんです。あの日義母は、息子の話が本当かどうか、確かめに来たのかもしれません」
それを証拠に、部屋が散らかっていたり埃がたまっていたりする様子を確認すると、義母は満を持して口を開いた。
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