「息子が皿洗いや洗濯をやって、沙也子さんは寝ているだけって本当なの?って聞かれました。すみません、つわりが収まったら私もできますからと声も絶え絶えに答えたんですが、義母は愛想笑いひとつ見せてくれませんでした。私がソファで横になったまま起き上がれず、だらしない姿勢で受け答えしていたのも気に入らなかったんでしょうね。最初に断ったんですが」
笑顔どころか、義母は般若のような顔を沙也子に向け、妊娠は病気ではないので、チヤホヤされたいなら他の方法を考えた方が良いと助言してきたのだという。なんでこんなことを言われないといけないんだろうと、彼女は唖然としてしまったのだそうだ。
結婚する時、しっかりした素敵なお嬢さんだと言ってくれた義母の柔和な表情を思い出しては、これは悪夢かと沙也子は我が目を疑った。
また、夫が沙也子のいない所で義母に電話をかけ、つわりで苦しんでいる妻についての愚痴をこぼしていたのかと思うと、沙也子は虫唾が走る思いがした。なんて情けない男なのだろうと思った。
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