「今日は全額賭けるよと言ってしまったんです。ハツネは急に上機嫌になって、どの馬に賭ける?と目をキラキラさせて、こちらの顔を覗き込んできました。私の買う馬券を選んであげるなんて言っていて、その姿があまりにも可愛らしかったんでつい、承諾してしまいました。そしてそのレースにかけた馬券が見事に当たったんです。ハツネは自慢げでしたね。そのお金でもうひとレースしようと言い、私も気分がよくなっていたので次のレース、その次のレースと賭け続けました。結局、その日は結構な上がりが出たのでハツネと2人でちょっといい居酒屋に行って、祝杯をあげたんです」
ハツネはとても嬉しそうだったという。お酒も進み、話が盛り上がり、お互い結婚していた頃の話になった。
「ハツネは夫とは趣味も性格もまるで違って、共有できることが少なくて寂しかったと話していました。だからこそ、これからいろんなことを共有できる人と過ごしたいと熱弁していて、私はすっかり、その相手が自分だと思い込んでしまったんです。本当に馬鹿ですよね」
RANKING
1
3
5
1
2
3
5