「あ、女の子なんですよ」
「あら、それはそれは失礼! 最近こっちに来た人?」
「はい、2週間くらい前にこっちに」
「バンコクは暑いでしょう!? お友達はできたの?」
「いえ、初めてなもので、まだ知り合いとかもいなくて」
「それだったら、今度私たちの仲間に入らない? 同じ駐妻グループで仲良くしましょうよ!」
「え! いいんですか!? 嬉しいです。私もずっと家に引きこもりなので」
「なんでも頼ってもらっていいのよ。私は恭子。あなたは?」
「ありがとうございます! 私は愛子と言います」
その後しばらく立ち話をしていた愛子と恭子は、お互いの連絡先交換をして解散した。初めての日本人の知り合いができたことで気分良くした愛子は、その夜早速、夫に顛末を話した。
「日本食レストランで日本人と知り合ったんだよ。恭子さんて言って、けっこうこっちの生活が長そうで頼りになりそうな人だった。早速さっき、『明日会わない?』って連絡来たんだよ」
「お前な、同じ日本人だからって気軽に気を許したらダメだぞ。『マウンティング』されたり、同じ駐妻の中でも格付けとかされるらしいぞ。日本人って、結構意地が悪いからな」
そんな夫の意見に対し反論したかった愛子だが、その時は、それ以上に高揚感が勝っていたのである。そしてのちに夫が正しかったことを痛感することになる。
☆衝撃の次回では、愛子を慟哭させた、「日本人コミュニティの闇」についてさらに詳しく詳報する☆
ライター 松木純
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