「ちょっとおかしくなってしまいましたね。離婚はいろいろ大変だったし、引っ越しも重労働だったはずなんですが、ほとんど記憶がありません。
実家に戻っても、部屋から出られずに、1年くらい引きこもってたんです。親は……いやそうでしたね、かなり世間体を気にしてました。早く1人暮らししなければ……とは思っていましたが、外に出るのが怖くて」
そんな雅美に転機が訪れたのは、夜間だけ書店でアルバイトを始めてからだったという。書店で出会った大学生との一夜が雅美を変えることになったのだと。
「同じ本屋さんでバイトしてた大学生の男の子が、明治の文学が好きだというので、話が盛り上がりました。私も明治から昭和中期までの日本文学が好きなので」
大学生にはどこか素朴さがあり、あまり今どきの若者という雰囲気ではなかった。そこが雅美の心をほぐしたのだという。
「仲良くなって、バイト終わりにファミレスでお茶してお喋りしたりして、楽しかったです」
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